帰還困難区域の一部を除染せず避難指示解除

12月26日の各紙が、「政府が、住む見込みのない地域について、除染せず避難解除を決定した」と伝えていました。
「東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示の解除について、政府の原子力災害対策本部(本部長・菅義偉首相)は25日、除染をしていない地域でも解除できるようにする新たな方式を正式に決めた」(朝日新聞、大月規義記者)。

・・・いまの解除の要件は、(1)線量が年20ミリ以下に低下(2)インフラ整備と除染が十分進む(3)地元と十分協議する――の三つ。新方式では、このうち(2)を変更し、土地を活用する自治体などが、地表をアスファルトで覆う造成や、線量計を貸し出すなどの被曝対策を実施することを要件にした。これにより、多大な費用と時間のかかる除染なしで避難指示を解除できるようにした。解除後は人が自由に出入りしたり、事業を営んだりすることができる。
ただ、新方式の適用にあたっては、地元自治体が避難指示の解除後に公園や産業団地などとして使いたいという具体的な利用計画や要望があることや、解除後に人の居住が想定されていないことが前提となる。除染を必要とする従来の解除方式も維持し、どちらを選ぶかは自治体に任せる・・・

この報道の通りなのですが、少し補足しておきます。
原発事故による放射線量の高い区域を、政府(原子力災害対策本部)は、3つの区域に分けました。放射線量が低く早く帰還できる区域(避難指示解除準備区域、緑色)、少々放射線量が高く除染をして帰還を目指す区域(居住制限区域、黄色)と、放射線量が高く当分の間帰還ができない区域(帰還困難区域、赤色)です。

このうち、解除準備区域と居住制限区域は、既に避難指示を解除しました。その際に、放射線量が高い区域は除染をしましたが、山林については除染をせず、放射線量が低いことを確認して、避難指示を解除しました。「除染をせず避難指示を解除すること」は、今回が初めてではないのです。
なお、当分の間帰還できないとした帰還困難区域について、帰還のための作業をしていることについては、別途解説しましょう。