教員の魅力の低下、やりがいと実態と

10月7日の朝日新聞記者解説、氏岡真弓編集委員の「教員のなり手が減少 「ブラック職場」敬遠、対策も後手」から。

・・・教員のなり手不足が各地で問題となるなか、実態を調べようとした。
結果は予想より深刻だった。今年度から働き始めた公立小中学校教員向けの採用試験の受験者は、全国で約9万8千人。2012年度の約12万2千人から約2万4千人減っていた。さらに動きがあったのは、採用者に対する受験者の割合(競争倍率)だ。近年は採用人数が増えていることもあり、今年度は小学校が約2・8倍、中学校が約5・5倍と、00年度の約12・5倍、約17・9倍から大きく落ち込んだ。
非正規の教員のなり手が見つからない件数はどうか。今年5月1日現在、全国で1241件が配置されていなかった。教育委員会が独自に進める少人数学級の担当や病休、産休・育休をとっている教員の代役などが見つからないためで、教頭が代わりに授業をしたり、少人数学級をあきらめたりする学校が出ている・・・

・・・ 非正規教員の需要も拡大してきた。小泉政権が進めた規制改革のなかで、教員の人数や給与は自治体が決められるようになり、少人数学級などの取り組みが広がった。しかし自治体の財政は厳しく、多くの場合は安い給与で雇える非正規に頼ることになった。
その間、教員をめぐる状況は厳しさを増してきた。学力向上、いじめや不登校の指導、保護者への対応、部活動、事務仕事……。社会や政治からの要請にともない、学校の役割は膨らみ、教員の仕事も増えてきた。
文科省は06年、40年ぶりに勤務実態調査を行ったが、目的だった教員の給与改革が頓挫すると、成果は活用されなくなった。働き方が問題となって、改めて実態を調査したのは16年。労働時間が06年の調査よりさらに増え、小学校教諭の約3割、中学校教諭の約6割が「過労死ライン」に達していた・・・・