「企業と役所とで、考え方が違う」と、しばしば指摘されます。「お役所仕事」として、批判されることもあります。しかし、それぞれにそのようになる、理由や背景があります。
それを考えていて、代表的な違いに、思い当たりました。同じ表現が、企業と役所では違った意味に使われ、そして社員と職員の意識を違ったように育てるのです。
「千三つ」「千に三つ」という表現があります。
企業の場合は、千に三つでも当たる商品があればよい、という意味です。
ところが、役所の場合は、千に三つも間違いがあってはいけない、と言われます。
すると、新しいことに取り組む際の意識の差が出ます。会社は、失敗しても新しいことに挑戦するのが良いことなので、挑戦の意識が育ちます。しかし、役所は、失敗したら大変だという意識が覆います。で、新しいことへ取り組む意識は育ちにくくなります。
「リスク」についての認識の違い、と言ってもよいでしょう。企業は、リスクを取ります。取ってでも、利益が出れば良い。いえ、利益のためには、リスクを取ります。役所の場合は、リスクは極力避けるものです。
「できあがったものか、つくるものか」(2月16日。古くなりました)の続きにもなります。厳密な話ではないので、その点はご了解ください。いつものことです。この項続く。