倒産防止かゾンビ企業延命策か

12月9日の朝日新聞連載「平成経済 リーマンの衝撃12」「大変革迫られた中小企業」から。

・・・政府は中小の倒産を防ぐために、手厚い政策をとった。その一つが、2009年に施行した中小や住宅ローン利用者の借金の返済猶予を促す「中小企業金融円滑化法」だ。中小からの求めがあれば、貸し付け条件の変更に応じるよう金融機関に求めた。13年までの間、約30万~40万社が貸し付け条件の変更などをしたとされ、全国の中小の約1割にあたる。

「運転資金としてお金を借りるのは初めての経験。『禁断の実』に手をつける気持ちやった」。工作機械や航空機部品をつくる「大阪工作所」(東大阪市)の高田克己会長(74)は振り返る。1億5千万円の機械を購入できるほど業績は安定していたが、リーマン後は赤字続きで、金融機関から約1億円を借り入れた。「国に助けてもらえなければ、消えていたかもしれない」。新入社員の採用を再開するなど、経営は軌道にのりつつある。

08~09年に1万5千件を超えた倒産件数は、17年には8400件まで減った。円滑化法の効果があったとされる一方で、政府が技術力もない中小を延命させたという「ゾンビ企業」批判もつきまとった。
関西の中小企業団体幹部は「企業数が温存され、業界によっては消耗戦が続く。力のある企業の競争力を奪っており、ゾンビ企業が残った弊害だ」と指摘する・・・

難しいところです。各種の政策には、副作用もあります。それは、薬も同じです。その際に、どれだけ副作用を小さくするかが、課題になります。
また、緊急時は、副作用を知りつつ、強行する必要がある場合もあります。しかし、平時になっても、緊急時と同じことをしていると、批判が出ます。
アダム・スミスの時代のように、経済や産業に国家が介入しない時代なら、こんな問題は生じなかったのですが。国家と経済の関係、国がどこまで介入するかは、永遠の課題です。