国会というところ2

Ⅱソフトウエア
1 「国会」はない?
(国会の長)
私たちは「国会」と呼びますが、よく見ると「国会」という「一つの組織体」はありません。あるのは、「衆議院」と「参議院」です。
憲法第41条は、「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」と定めています。でもその他の規定の主語は、「衆議院」「参議院」であって、「国会」という言葉がでてくるのはほとんどが「会期」としてです。
「三権の長」という言葉があります。行政権の長の内閣総理大臣と司法権の長の最高裁判所長官と・・。しかし、国会の長はいません。いるのは、衆議院議長と参議院議長です。それで、三権の長は、合計で4人です。
両院の議決があって、法律が成立するのです。もちろん、両院の議決が異なった場合の処理の仕方を、憲法は定めています。
(領土)
国会の建物の中も、衆議院と参議院に分かれています。早い話が、議事堂の真ん中で、「国境線」が引かれています。その線を境に、守衛さんの「領土」が分かれるのです。もちろん、守衛も「国会の守衛」はいません。衆議院の守衛と参議院の守衛がいるのです。
議事堂の正面に、玄関が3つあります。衆議院議員は衆議院の玄関(向かって左)から入り、参議院議員は参議院の玄関(向かって右)から入ります。真ん中の玄関は、天皇陛下が使われます。外国からのお客さんや当選後の新人議員も。正面玄関は、その他の時は、国会開会中でも閉まっています。
電話も、国会の代表電話はありません。衆議院(3581-5111)と参議院(3581-3111)の代表電話があるのです。ホームページも別々ですよね。
中央玄関以外にも、「国会として一つ」のものもあります。国会図書館裁判官弾劾裁判所などです。これらは、それぞれの院には置かれていません。
2 会議
(1)国会は会議の集まり
国会は、議員が集まって議論をし、結論を出す、あるいは出さないところです。ソフトウエアに着目すると、国会は会議の集まりです。ハードウエアでは、会議室の集まりになります。
この場合も、「国会の本会議」はありません。衆議院・参議院それぞれの本会議や委員会があり、両院が集まって開かれる(特別な)会議があるのです。
(2)両院が集まる会議
①開会式
会議とは言えませんが、陛下をお迎えして開かれる「開会式」は、両院の議員が参議院の本会議場に集まって行われます。それで、参議院の本会議場は、参議院議員の定数以上の席があります。参議院本会議がテレビ中継されると、空席が目立ちますが、そもそも空席でなく余裕があるのです。
②両院協議会
両院の議決が異なった場合の協議機関(憲法第59条ほか)。
③国家基本政策委員会(合同審査会)
両院に置かれる委員会の一つで、いわゆる党首討論です。委員会としてはそれぞれの院に置かれていますが、総理を呼んで質疑をする際は、両院の合同で(合同審査会で)開かれます。場所と委員長は交代ばんこのようです。野党の党首は、衆議院議員か参議院議員のいずれかでしょうから、それぞれの院で開くと、「変になる」でしょうね。
3 国会を支える機能
国会は、衆議院と参議院において、議院が議論をするところです。Ⅰハードウエアの記述でも出てきましたが、それを支える組織として、「各院の事務局」と「各党の事務局」があります。そこに、内閣がかかわってきます。
4 政党
5 議会事務局
6 内閣
(内閣との関係)
国会での審議の多くは、内閣が提出する法案・予算・条約などです。この他にも、白書などの報告・国会の同意が必要な人事や案件・一般的な行政に関する質疑など、内閣を呼んで行う質疑がたくさんあります。今国会の例だと、鳥インフルエンザ対策の質疑・イラク支援のための自衛隊派遣の承認などです。
地方財政でいえば、地方交付税法改正は法案ですが、これとあわせて地方財政計画を国会に提出します。これは議決対象ではありませんが、翌年度の交付税総額や地方財政の見通しを議論するために提出します(地方交付税法に定められています)。
(内閣の出番)
そこで、どうしても内閣の「出番」(内閣が呼ばれること)が多くなります。国会議員と国会職員だけでは、国会は動かないのです。また、内閣の方も、提出した法案などがスムースに成立することが必要なので、内閣からの働きかけも重要になります。
内閣全体としては「内閣総務官室」が、各省では「官房総務課」と「政府控室」(これは総務課の中の組織です)がその担当になります。