消費の変化、モノから人間関係へ

読売新聞3月21日朝刊第1面「Nippon 蘇れ、活力2」は「モノ欲しがらぬ若者」でした・
・・・例えばクルマだ。かつてマイカー購入はカローラなど大衆車に始まり、経済力がつくにつれて、高級車に買い換えていった。「いつかはクラウン」というCMは、モノから豊かさを実感できた時代の象徴でもある・・
(10年ほど前に、私が講演の際に使っていたエピソードがこれでした)。
・・総務省の全国消費実態調査では、30歳未満の単身会社社員男性の自動車普及率が、1999年の63.1%から2009年には49.6%に減った。
・・電通総研が今月5日に発表した調査によると、15~29歳の消費の特徴は「メリハリ化」と「総”交際費”化」。無料や安価なモノやサービスを楽しむ一方で、気に入ったものへは高額な出費をいとわない。仲間と交流を深め、盛り上がるためにもお金をかける・・・
(「モノから関係へ」も、私が『新地方自治入門』で指摘したことでした)。
ここでは、若者が、従来の常識にとらわれていないことがわかります。製造業や小売業の思惑通りには、行きません。それは、良いことだと思います。売り手に振り回されず、自分で考えて金を使うのですから。使いたいだけの金がないというのも、事実です。もっとも、次のような分析もあります。
記事の続き(p12)、久我尚子ニッセイ基礎研究所研究員の発言から。
・・総務省の2009年の全国消費実態調査で、30歳未満の勤労単身世帯の1か月の可処分所得を見ると、男女とも21万円余り。1999年より男性は約1万円減ったが、女性は2万円以上増えている。
非正規雇用者の所得はこれより低いが、余裕がないわけではない。未婚・晩婚化が進んで自分のために使えるお金が増えている上、家賃や食費のかからない親元で生活する人も多いからだ。お金がないのではなく、若者の価値観の変化が消費に大きく影響している。
自由に使えるお金が減ったのは、むしろ40~50代。厚生労働省の賃金構造基本統計調査から50代後半男性で大卒正規雇用者の年収を推計すると、2001年は1,040万円だが、2011年は791万円。年収も40代後半をピークに下がっていく・・