復旧・復興にかかる経費について、整理しておきましょう。
時間の経過で分けると、応急・救助の段階、復旧の段階、復興の段階の3つに分けることができます。第1段階の応急・救助は、発災直後からの経費で、救急や避難所の運営などです。これについては、現時点までに多くの仕事が進み、支出もされています。第2段階の復旧は、現在進行形です。元の状態に戻すにはいくらかかるかという観点から、ストックについて「被害額」が推計されています(内閣府防災統括官6月24日)。これによると、16.9兆円です。さらに第3段階として、復興経費が必要です。高台に移転するとか、堤防などをかさ上げするとか。道路や鉄道を付け替えると、復旧以上の経費がかかります。これは、現時点では、見込みが立たないので、確実な推計はできません。
次に推計手法に、いくつかの方法があります。正確なのは、市町村の各事業を積み上げてくることです。しかし、これは事業の計画が立たない自治体が多いので、だいぶ先になります。現時点では、過去の災害(阪神淡路大震災など)を参考に、マクロで推計するしかありません。もちろん、これにも、どの程度の区分で推計するかによって、いくつかの数字があり得ます。
そして、これらの事業が、これから何年にわたって行われるか。年割り額があります。
次に、これらの事業費のうち、どこまでが民間の負担で、どこまでが公費(国と地方自治体の負担)かが、別れます。道路や学校の復旧は、ほぼすべてが公費です。民間の建物や施設は、基本的にはその所有者の負担です。救助経費でも、ボランティア活動や民間の寄付によるものがあります。
復旧事業は、現場で、どんどん進められています。財政負担の枠組み(国費と自治体の負担割合など)が、できているからです。総事業費は、事業や計画を進めながら、確実なものになるのでしょう。それまでは、一定の推計で進めるしかありません。