公共サービスと料金

全国市長会の機関誌『市政』2010年12月号に、中邨章明治大学教授の「自治体の信頼と危機管理」が載っています。その中で、アメリカでの消防・救急の費用負担が、紹介されています。
救急車を呼んだら、「料金を支払えるか」と聞かれた例や、あらかじめ75ドルの税金を払っておかないと消防車が来てくれない例が、出ています。後者の場合は、火事になったが事前に75ドルを支払っていなかったので、消防車が来てくれない。しかし、隣の家は支払っていたので、消防車が来てくれた。ただし、規則に忠実な消防隊は、現場に到着しても、出火元が全焼しても活動せず、隣家に延焼始めたら消火活動を始めたという話です。以前、中邨先生にこの話を教えてもらった時には、「忠実な消防隊」を笑うとともに(失礼)、なるほどと感心しました。

私は、消防は地域全体への危険を防止するために、無料でよいと考えます。しかし、救急の場合は、特定個人が利益を受けます。そして、緊急度の低い人が、救急車を呼ぶ例も報道されています。だから、有料にして良いと考えます。
その時は急いでいるので、後払い。または、健康保険の対象にするのも、一つの方法です。往診の場合は、往診料を払います。それとよく似た行為だと、位置づけるのです。医者が来てくれるのか、医者のところに運ぶのかの違いです。もちろん、料金設定をいくらにするのか、少々難しい問題もあります。
無料と言っても、その費用は住民が負担しているのです。その点、山岳救助の費用も、遭難者が負担すべきです。通常の生活ではなく、危険を伴うことを承知で出かけているのですから。「高額だから無理だ」とおっしゃる人もおられますが、保険に入ればよいのです。スポーツ少年団なども、保険に入っています。