ジャパン・アズ・ナンバーツー

先日、朝日新聞の連載「ジャパン・アズ・No.3 日中GDP逆転へ」を紹介しました。私は、この連載はよい企画だと思いましたが、標題には疑問を持ちました。
引用しましたが、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を書かれた、エズラ・ボーゲル教授は、次のように発言しておられます。
「僕がナンバーワンと言ったのは、経済が一番大きいという意味ではなかった。日本は義務教育の水準、会社への忠誠心、長寿であることなど多くの点で世界一で、その日本から米国は学ぶべきところがあるという意味だった・・」
日本がGDPで世界第2位は、1968年から約40年間続きました。でもその間に、日本は「ジャパン・アズ・ナンバーツー」だったでしょうか。経済力が世界第2位であることと、国際社会で「第2位」の地位を占めることとは、別物です(もし、そのような順位がつくとすればですが)。
この記事の、GDPが世界第3位になると、「No.3」であるとも読める標題の付け方は、依然として、経済力で自分の姿を測る考え方でしょう。
敗戦から立ち直った日本が、23年で、世界第2位の経済力を持ったことは、素直に喜んで良いでしょう。またそれを40年間も続けたことは、評価して良いでしょう。
しかし、国際社会で中心的な地位を占める、あるいは尊敬されるためには、軍事力や経済力が強いだけではだめです。世界の秩序(政治・経済・文化)をつくる際の影響力の大きさが、一つの基準でしょう。それには、他国からあこがれをもたれる存在であること、また国際社会での発言権と責任が必要です。日本は、世界に対し、どれだけのことを貢献し、発信したのでしょうか。
また、この記事に関連してですが、「G2」という言葉を、聞くようになりました。中国が力をつけてきたので、世界がアメリカと中国の2つの超大国を中心に動くという考え方のようです。しかし、これも、経済力が大きければ、国際社会の中心になるという発想だとすれば、短絡的ですね。