カテゴリー別アーカイブ: 図書紹介

地方行財政-図書紹介

地方行財政刊行物案内

【注意】かなり古くなっています。その後に廃刊になったり体裁が変わったものもあります。
地方行財政に関しては、数多くの雑誌などが刊行されています。関係者以外には、案外知られていないようです。また、どこにどのような雑誌があるかの、案内もないようです。このページに載せたいと考えています。(アイウエオ順・未完成)
1 地方行政

 

誌名 編集・刊行等 発行頻度
ガバナンス ぎょうせい 毎月一回1日発行
市政 全国市長会 毎月一回1日発行
自治研究 第一法規 毎月一回10日発行
自治総研 地方自治総合研究所 毎月一回発行
「住民行政の窓」 日本加除出版 毎月一回5日発行
住民と自治 自治体問題研究所 毎月一回1日発行
「地域政策研究」 財団法人地方自治研究機構 毎月一回1日発行
地方議会人 中央文化社 毎月一回1日発行
「地方行政」 時事通信社 毎週二回月曜日、木曜日発行
地方自治 地方自治制度研究会編・ぎょうせい 毎月一回5日発行
地方自治情報 財団法人地方行政総合研究センター 毎月一回発行
町村週報 全国町村会 毎週月曜日発行
「都道府県展望」 全国知事会財団法人都道府県会館 毎月一回発行
日経グローカル 日経産業消費研究所 毎月二回第1、第3月曜日発行
日本行政 日本行政書士会連合会 毎月一回25日発行
LASDEC 財団法人地方自治情報センター 毎月一回1日発行

 

2 地方税財政

 

誌名 編集・刊行等 発行頻度
公営企業 財団法人地方財務協会 毎月一回20日発行
ぎょうせい 毎月一回1日発行
税経通信 税務経理協会 毎月一回1日発行
税研 財団法人日本税務研究センター 毎月一回20日発行
税務弘報 中央経済社 毎月一回1日発行
税理 ぎょうせい 毎月一回1日発行
租税研究 社団法人日本租税研究協会 毎月一回10日発行
「地方行財政旬報」 財団法人地方財務協会 毎月二回第1、第3水曜日発行
「地方債月報」 地方債協会 毎月一回15日発行
地方財政 財団法人地方財務協会 毎月一回1日発行
地方財務 ぎょうせい 毎月一回5日発行
地方税 財団法人地方財務協会 毎月一回1日発行

 

3 地域振興等

 

誌名 編集・刊行等 発行頻度
コミュニティ 地域社会研究所 毎月一回15日発行
自治体国際化フォーラム 自治体国際化協会 毎月一回15日発行
地域開発 日本地域開発センター 毎月一回発行
地域創造 財団法人地域創造 毎年二回発行
地域づくり 財団法人地域活性化センター 毎月一回1日発行
「FURUSATOVitalization」 財団法人地域総合整備財団(ふるさと財団) 毎月一回1日発行

 

4 職員研修等

 

誌名 編集・刊行等 発行頻度
「アカデミア」 市町村アカデミー 毎月一回1日発行
国際文化研修 全国市町村国際文化研修所 毎月一回15日発行
自治実務セミナー 第一法規 毎月一回10日発行
自治フォーラム 自治研修協会 毎月一回10日発行
「地方自治職員研修」 公職研 毎月一回15日発行

 

5 その他

 

誌名 編集・刊行等 発行頻度
「災害補償」 地方公務員災害補償基金 毎月一回10日発行
「選挙」 都道府県選挙管理委員会連合会 毎月一回1日発行
「選挙時報」 全国市区選挙管理委員会連合会 毎月一回25日発行
「全国自治体病院協議会雑誌」 全国自治体病院協議会 毎月一回1日発行
「総務省」 総務省 毎月一回1日発行
「地方公務員時報」 総務省自治行政局公務員課 毎月一回10日発行
デルクイ(富山県職員政策情報誌) 富山県総合政策課 季刊
都市問題 東京市政調査会 毎月一回1日発行
都市とガバナンス 日本都市センター 毎年一回発行
都市問題研究 都市問題研究会 毎月一回20日発行
判例地方自治 ぎょうせい 毎月一回1日発行
「Local Government Review inJapan」 Japan Center for Local Autonomy(財団法人自治総合センター

地方財政制度を統治の観点から考える

小西砂千夫先生が『統治と自治の政治経済学』(2014年、関西学院大学出版会)を出版されました。
・・筆者はこれまで、地方財政や地方自治の研究を行うなかで、制度を設計し、運営する側の立場にたって目の前の事実を補足しようと心掛けてきた。毎年度、地方財政に関する予算折衝が、旧自治省と旧大蔵省との間で展開されるが、それは戦争にも例えることができる・・そこにみえてくるのは、予算折衝におけるパワーバランスである。旧大蔵省と旧自治省だけがプレーヤーではない。官邸、閣僚、与党、野党、地方6団体などの様々なプレーヤーが登場する・・
・・財政学研究は官房学を起源とする伝統的な財政学に、近代経済学のめざましい発展の要素を取り入れることによって、学問的なコンテンツを充実させてきた。それ自体は、けっして悪いことではない。しかし、財政学が対象とする政策課題がそれですべて解けるわけではない。ましてや、財政学は応用経済学の一分野などではない。公共経済学の発展は喜ぶべきことだが、それが財政学に代わって。財政問題をアプローチする学問となることはできない・・(序章)
地方財政制度や毎年度の地方財政対策は、経済的機能とともに、政策意図や政治によって決まるという要素を持っています。
私はかつて『地方交付税・仕組と機能』(1995年、大蔵省印刷局)を書いた時に、仕組みの解説とともにそれが果たしてきた機能についても解説しました。その後、さらに視野を広げて、「財政調整制度の機能と思想」を書こうと考えていました。「今後書こうと思っている論文」に「地方交付税制度がどのような思想に支えられて、50年機能したか。また変化してきたかを、大きな観点から考えてみたいと思っています」と書いたのですが。
しかし、その後、交付税の仕事から離れたことと私の関心が他に移ったので、とうとう書くことができませんでした(それどころか、『地方交付税』の改訂もしないまま、もう20年も経ちました。すみません。後輩に期待します)。私の意図とは必ずしも一致しませんが、小西先生の著作は重なるところが多いです。
制度にあっては、制度設計者の意図と、それが果たしてきた機能が重要です。『新地方自治入門』では、地方交付税制度が戦後の日本の発展(地域のナショナルミニマム整備)に大きな貢献をし、日本社会を安定させたことを書きました。
官僚が、制度や法律の解説を書くことがあります。私は、それに携わった官僚の務めだと思っています。その際に、仕組みの解説だけでなく、どのような意図で作ったか、また一定期間後には、どのような成果を上げたかどのような機能を果たしたかも、書くべきだと思っています。そうでないと、価値がないですよね。

持田先生の新著『地方財政論』

持田信樹・東大教授が『地方財政論』(2013年、東京大学出版会)を上梓されました。先生は既に『財政学』(2009年、東大出版会)を出しておられるので、これで両輪がそろいました。
先生は、この本の特色を、「第1に、世界の理論的潮流に照準を定め、わが国の制度を新たな視点から照らし、あるべき政策を考察していることである」と書いておられます。」と述べておられます。
「〈理論〉を志向すると、地方財政の〈制度〉に関する理解は浅くなる。〈制度〉の解説を志向すれば、それと表裏一体の関係性にある〈政策〉に関心が傾き、根本にある〈理論〉が手薄になる。本書は、その難題に挑戦し〈制度〉・〈理論〉・〈政策〉を1冊の教科書で有機的に結合して、釣り合いのとれた議論を展開しようとした」と書いておられます。確かにそうですね。そのバランスが難しいのです。
続いて、「大手製菓会社の宣伝文句に『1粒で2度おいしい』というのがある。そのひそみにならうならば、本書は『3度』楽しめるはずである」とも書いておられます。
第2の特徴として、「最近の地方財政論の成果を吸収して、所得再分配における地方財政の意義と問題点をやや詳しく概観している。このため、本書では経費論を予算論の一部として展開するのではなく、予算論から独立した章を立てて(教育、医療・介護、福祉)、やや詳しく概観した。それによって、地方財政論における歳入論偏重ともいうべき傾向を緩め、経費論の位置づけを高めようとした。地方財政の役割を資源配分機能の世界に閉じ込めるのはやや時代遅れである、という真意をくんでいただければ幸いである」。この後段は的確な指摘で、かつて地方財政を論じていた者の一人として、耳が痛いです。
拙著『地方財政改革論議』も、参考文献として紹介してもらっています。「やや古いが岡本(2002年)は、地方交付税改革の背景や内容に関するわかりやすい解説」(p306ほか)。ありがとうございます。しかし、もう11年も前のこと、古くなりました。その後は、内閣や官房系の仕事で忙しく、地方財政とはすっかりご無沙汰になっています。
なお、先生の『財政学』は、以前このページで、詳しく紹介しました(2009年12月6日以下)。

北村亘先生の新著

北村亘・大阪大学教授が、『政令指定都市―百万都市から都構想へ』(中公新書)を出版されました。かつて大都市とは、東京と5大市(横浜、名古屋、京都、大阪、神戸)のことでした。今や20市、人口では日本の総人口の5分の1を占めています。東京23区を合わせると、4分の1です。政令市と聞くと、都市機能集積の大きな大都市を思い浮かべますが、合併によって人口が増えた市も多く、農村部だけでなく山間僻地を抱えた政令市も多いです。主に人口要件で指定したので、ブロックの中心都市だけでなく、お隣にも指定市がある状態になりました。夜間人口が昼間人口より多い市、すなわち周辺の地域から人が集まるのではなく、昼間に外に出かける人が多い市もあります。
また、政令市に権限を増やすと、政令市を抱える府県は、中心部が中抜けになります。大都市を、州や府県並みに位置づけている国もあります。
大都市制度をどうするかは、戦後日本の地方行政の課題の一つでした。しかし、戦後改革の際に、府県並みの特別市制度を導入しようとして失敗し、その後は、大きな改革もなく大都市の数が増えることになりました。

本書は、これまでありそうでなかった研究です。しかも、制度論と歴史だけでなく、機能や市役所内部の分析も書かれています。大学の研究者が、単なる理論書や欧米の輸入学問でなく、日本の現実を分析する書物を書いてくださるのは、ありがたいことです。
新書という形で出版されると、読みやすいですね。もちろん、執筆者にとっては、制約も多くなりますが。
あとがきに、小生の名前も並べてもらいました。十分なお手伝いもしていませんが、学界と実務とをつなぐことに少しでも貢献できたら、うれしいです。