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勉強不足の記事

また、やってくれました。今年は、NHKでした。
「来年度予算をめぐる谷垣財務大臣と各閣僚による復活折衝は、午後5時ごろすべて終わりました。このうち、・・・沓掛国家公安委員長との折衝では、地方の警察官を3500人増員するための費用として3億8300万円が認められました」(22日、19:22付け経済面)。
これだと、警察官一人あたり、11万円です。おかしいと思わないんですかね。それとも、財務省が、そうし向けているのでしょうか。警察官は地方公務員であって、財務省が査定するものではありません。この経費は、たぶん国が支給するピストル代でしょう。もっとも、よく読むと、「増員するための費用」と書いてあって、「警察官の費用」とは書いてないですが。
よく見たら、23日の朝日新聞も日経新聞も、復活折衝の記事で「地方の警察官を3,500人増員するために3億8,300万円」と書いてありました。昨年一昨年と、このページで批判しましたが、あまり「進歩」していないようですね。総務省記者クラブの記者さんには、毎年笑いながら警告を出すのですが、財務省記者クラブまでは届かないようです。このHPも、読んでもらってないんでしょうね
9日の朝日新聞「新聞週間特集」で、藤原帰一教授が「世界は単純じゃない」として、次のようなことを発言しておられました。「ただでさえ分かりにくい国際問題を少ない情報量で書くと、どうしても「善玉対悪玉」の話になりがち。フセイン政権下のイラクもそうですが、北朝鮮の内情は不明な部分も多い。その際、学者は「わからない」と言う権利や、むしろ責任があるけど、記者は言えないんですね」
「変化の深層を掘り下げた報道がもっと欲しい。例えば、先日クーデターがあったタクシン政権下のタイを、これまでどれだけ報道していたのか」

短期間異動

私の部屋にもよく取材に来てくれるA社の記者さんが、異動の挨拶に来ました。
全:???あんた、まだ来たばっかりやないの。
記:ええ、1年たたないのですが・・。
そうなんです。霞ヶ関や永田町を取材拠点にしている記者は、A社に限らず多くの人が1年で異動して行きます。広く経験を積ませようという、本社の方針なんでしょうが。
私たちの仕事もそうですが、1年のサイクルでようやく全体像がつかめ、2年目でいろいろ付加価値をつけることができるのではないでしょうか。私が何度か批判した「去年と同じまちがった記事を書いている」といったことは、去年の記事(前任者が書いた記事)をなぞるから起きるのでしょう。後任者への引き継ぎも、会社としての蓄積も十分に生かされていないように見えます。「自分の足で稼げ」という体育会系の方針が、生きているのでしょうか。
もっとも、取材される側からすると、経験不足の記者はいかに優秀であっても、「くみしやすい」「扱いやすい」と思っている人もいるでしょう(失礼)。

署名記事

20日の読売新聞は解説欄で、青山彰久記者が「全国知事会の力、分権改革へ責任ある政策提案が必要」を主張しておられました。賛成です。思うのですが、こういう記事を、なぜインターネットで読めないのですかねえ。それでも、署名入りの記事は、良いですね。責任がはっきりして。
今年から、朝日新聞が署名入り記事を増やしたのは、良いことだと思います。それに比べ、最悪は社説です。「社説」ですよ。その新聞社の職員が全員、そのような主張をしているとは思えません。毎日、職場で多数決を取っているとも思えませんし。少数意見はないのでしょうか、朝日、読売、毎日、西日本、南日本、北日本・・。
僕が社員だったら、耐えられませんね。「職員みんな同じ意見を持て」なんて。何を言ってもいい自治省・総務省に就職してよかったです。
すくなくとも、書いた記者の名前を、明記できないのでしょうか。でも匿名に関してもっとひどいのは、公務員ですかね。うーん、言っていることに矛盾がありますね。

平成17年度国の予算案

昨年、警察官の増員に関し、「財務大臣は、地方警察官を3150人増員し、3.5億円を認めた」という記事を笑いました(→マスコミ論)。今年は既に18日に、地方財政対策の中で、3500人の増員が発表されました。読売新聞なども、「総務大臣が3500人の増員を認めた」と報道しています。さて、各紙は、国の予算をどう報道するでしょうか。(2004年12月21日)

また、やってくれましたね。23日の朝日新聞は、「復活折衝の主な結果」に「警察庁:地方警察官3500人増員=3億円」と載せていました。3億円で3500人。1人当たり8万6千円です。「激安警察官」。
書いた記者や載せたデスクは、何を考えているのでしょうかね。進歩がありませんね。でも、財務大臣と国家公安委員長の折衝って、何を議論していたんでしょうか。(12月23日)

朝日新聞だけを取り上げると不公平なので、他の新聞も指摘しておきましょう。読売新聞も23日、「閣僚折衝で復活した主な項目」で「警察庁:地方の警察官3500人増員(3億7400万円)」を載せていました。この社は、既に「総務大臣が、3500人増員を認めた」と報道したのにもかかわらず、再度こんな記事を載せています。矛盾した記事を載せて良いのですかね。
総務省のPRが不足なのか、地方公務員を増員するのは財務省の仕事と思っている新聞記者が悪いのか、10万円で警察官が一人雇える(年間ですよ)という記事を変に思わないデスクが悪いのか・・。僕のこのHPは、読まれていないということか。来年はどうなるかな。

17年度交付税総額

12月18日に、麻生大臣と財務大臣の折衝が行われ、17年度の地方財政対策が決まりました。地方交付税総額は、前年度並みとのことです。地方団体には、これで安心してもらえます。
ところで、大臣折衝に先立ち、今朝の各紙に交付税総額の記事が出ていました。大臣折衝の前に、なぜ「漏れる」のか不思議ですが。A新聞は、1面大きな見出しで「交付税4000億円削減」と書いていました。驚きますよね。よく読むと、これは国の一般会計での歳出予算額の数字です。地方団体関係者や国民が知りたいのは、この数字でなく、地方への配分額である「地方交付税の額」です。この見出しの数字は「財務省側の数字」です。と言うことで、どこから数字がリークされているかも、見え見えです。
去年も、いくつかのマスコミは、この「間違い」を犯していました。記者さんが1年で転勤する弊害、役所がリークすると深く考えずにそのまま記事にしてしまう欠点が、また出ています。一方、Y新聞やN経済新聞は、正しい報道をしていました。