カテゴリー別アーカイブ: 報道機関

経済社会の変化を分析する記事

朝日新聞が「変転経済」に続いて、「激変、産業地図」を、毎週土曜日に連載しています。28日は、情報通信です。多くの分野で、技術革新・情報の高度化・国際化・後発国の追い上げなどで、企業の地図が塗り代わるだけでなく、ビジネスモデルが変化しています。2~3年のうちに、知識が役に立たなくなってしまいます。
専門書も、すぐに古くなります。業界紙を読むだけの時間もない私たちにとって、このような分析記事は、役に立ちますね。私は、このような記事が、新聞にとっての一つの「モデル」だと考えています。日々のニュースでなく、しばらく時間をおいて、じっくりと広く分析する手法です。
また、日経新聞がよく1面の左で、テーマを決めて連載をします。これも、有用です。官庁や会社が発表する資料を基に書く記事と違い、このような分析記事は、労力が必要です。

年金財政改革

16日の朝日・読売・日経3紙に、「どうする年金、3社で座談会」が載っていました。今年になってから、日経が税方式を主張したのに対し、朝日・読売が保険料方式の修正案を主張しています。この座談会は、3紙の論説委員らが、3社の主張を議論したのです。
政府の案を批判するだけでなく、改革案を提言することは、私はとても良いことだと思います。「新聞社は自説を主張してはいけない」という意見もあるそうですが、社説では毎日、自説を主張しています。それなら、批判より建設的な提言の方が意味があります。年金財政に限らず、いろんなテーマでやって欲しいです。
大林尚記者は、大活躍ですね。

マスコミの力

12日の朝日新聞は、新聞週間特集で、新聞記者が取材で暴いた事件を取り上げています。一つは、朝日新聞北海道支社による、偽牛ミンチ(ミートホープ)事件です。疑惑のコロッケを買って、検査機関に持ち込んで肉の種類の鑑定までしています。「報道で批判して逆に訴えられると、数十億円単位の請求額になる」という心配を抱えてです。
もう一つは、北日本新聞(富山県)による、高校での世界史必修科目履修漏れです。もう一つは、各紙が追いかけた政治家とカネの問題です。
それぞれ、地道な取材と独自の調査で、素晴らしい結果を挙げています。各省の発表や誘導による「大本営記事」でなく、このような記事を書いて欲しいですね。
先日、ある紙が、年度末に租税特別措置の延長法律が通らないと、軽減税率がなくなって、ものの値段が上がる場合があることを、例を挙げて書いていました。それは正しいのですが、一方で、超過税率がなくなって、値段が下がるものもあるのです。なぜか、そちらの方は書いてありませんでした。

今年は読売新聞

このHPでは、毎年この時期に、勉強不足あるいは説明不足の記事を批判しています。今年は忘れていたのですが、ある人から指摘を受けました。以下に、その要旨を転記します。
「今年は、読売新聞でした。23日朝刊に、しかも大きく見出しで『警官3000人増員3億4500万』と出ています。一人あたり11万円です。お手軽警察官ですね。いろんな事情もあるのかなと思って本文を読むと、『全国の警察官を3000人増員する予算として、3億4500万円が復活折衝で認められた』と詳しく書いてあります」
この記事を書いた記者さん、それを載せたデスクは、どう思っていたのでしょうか。これが事実としても、それなら解説が必要ですよね。

勉強不足の記事2

9日の朝日新聞「新聞週間特集」で、藤原帰一教授が「世界は単純じゃない」として、次のようなことを発言しておられました。「ただでさえ分かりにくい国際問題を少ない情報量で書くと、どうしても「善玉対悪玉」の話になりがち。フセイン政権下のイラクもそうですが、北朝鮮の内情は不明な部分も多い。その際、学者は「わからない」と言う権利や、むしろ責任があるけど、記者は言えないんですね」
「変化の深層を掘り下げた報道がもっと欲しい。例えば、先日クーデターがあったタクシン政権下のタイを、これまでどれだけ報道していたのか」