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研修所学長の仕事

市町村職員中央研修所の運営3」の続きにもなります。
市町村職員中央研修所では、年間約400人の講師に来てもらっています。全員とお会いするのは無理なので、何人かの方と学長室で、ご挨拶をしてお礼を言うようにしています。著名な方にお礼を言うのはもちろんですが、霞が関の官僚や地方自治体の職員には、なるべく会うようにしています。

官僚の多くは、仕事の一環として来てくれます。もちろん、彼ら彼女らの仕事を自治体職員に知ってもらうよい機会ですし、現場の意見を聞く機会でもあります。とはいえ、忙しい中にほとんどが無料で来てくれるので、一声かけて、講義のコツなども伝授します。
自治体職員で講師に来てくれる人は、人前で話す経験を持っている方も多いのですが、そうでない人もいます。でも、研修生からは評価が高いのです。現場体験があること、また「同僚」「先輩」として話がわかりやすく、質問もしやすいのだそうです。

先日は「観光戦略」の研修で、クレイグ・モドさんが来てくれました。ニューヨークタイムズの「2023年に訪れるべき52の場所」で盛岡市を、2024年には山口市を、2025年には富山市を推薦してくださった方です。お礼を言っておきました。

それぞれの講師の講義も聴きたいのですが、それをしていると本業が進まないのです。

市町村職員中央研修所の運営3

市町村職員中央研修所の運営2」の続きです。
研修実施に関して行った大きな改革は、研修資料の電子媒体による配布です。
これまでは、教材・資料を、紙に印刷して配っていました。最近の社会や行政の電子化に沿って、市町村アカデミーでも、研修資料を電子媒体で配ることにしました。2025年1月から試行しています。パソコンを持ってこられない人もいるので、紙に印刷する方法と両方を使っています。

研修生には次のように知らせています。
「研修受講に当たっては、講義資料等の指定された電子データを市町村アカデミーWEBポータルから、予めノート PC 等の端末にダウンロードした上で持参してください。端末の持参が難しい場合は、講義資料等を紙に印刷して持参してください。」「研修のしおり 事前準備
この研修資料も、以前は印刷物を事前に研修予定者に送っていました。数年前から、各自にダウンロードして印刷してもらう方式に変えました。便利になったものです。

研修生とのやりとりだけでなく、派遣する所属とのやりとり、出講していただく講師の方々とのやりとりも、電子化し一元的に管理できるようになりました。これは、便利です。
もちろん所内の業務や会議なども電子化が進み、紙の配布は大幅に減りました。会議には、各自がパソコンを持って集まります。そのために、無線LANも拡充しました。

市町村職員中央研修所の運営2

市町村職員中央研修所の運営」の続きにもなります。
研修所の広報媒体として、機関誌「アカデミア」とホームページがあります。これについても、職員が常に改善に取り組んでいます。今年度に行った改善をいくつか紹介しましょう。これらは、若手職員を中心に企画、実行してくれました。うれしいですねえ。

1 ホームページの充実
(1)「講義の実例」ページの新設
実際の講義内容を、一覧にとしてまとめて紹介する場を作りました。
・アカデミア「講義Again」掲載記事の一覧化(過去6年分、約60本)
・各科目ページへ該当記事のリンク掲載
(2)「視察録」ページの新設
市町村アカデミーを紹介する機会です。

2 機関誌「アカデミア」の充実
(1)「自治体職員×JAMP研修講師事例紹介Menu」の欄を新設
アカデミーの講義へ全国の自治体職員が講師として出講し、自治体独自の政策などの事例を紹介してもらっています。講義の概要を記事にして載せるようにしました。
全国の自治体にヒントを提供できます。出講してもらった自治体を紹介することにもなります。
(2)JAMP OB座談会
アカデミーOB教授がアカデミーに集まり座談会を実施しました。教授の多くは、自治体から派遣してもらっています。
「アカデミーへ来て、どんな仕事・暮らしをしていたか」「どのような思いで仕事をしていたか」「アカデミーでの経験が出向元で役立ったこと」「これからのアカデミーに期待すること」などを語ってもらいました。

職員研修の変化

市町村職員中央研修所(市町村アカデミー)の業務は、市町村職員への研修の提供であり、研修を通じた職員の能力向上です。
1 分野は、大きく分けると次のようになっています。
・実務の基礎(法令実務、課税徴収、福祉行政など)
・政策(まちづくり、少子高齢化、文化、産業など)
・新しい課題(電子化、ハラスメント対策、働き方改革など)
・管理職養成

地域の課題の変化と職場の変化に応じて、これらの内容も変化してきています。例えば管理職研修でも、部下の心の健康などが重要になってきました。

2 授業の方法も、変わってきました。
かつて研修と言えば、講師が話をして、研修生がそれを学ぶ手法が主流でした。そのような講義もありますが、「教える」ということだけでなく、「育てる」ことに重点が移ってきました。
すなわち、課題演習や討論の時間を増やしてきたのです。聞くという受け身から、考えて発言するという参加型への変化です。机の配置も、みんなが講師の方を向く教室型でなく、研修生同士が向かい合う島形になります。

3 講師の話を聞くだけなら、全国から千葉に集まる必要はなく、オンライン授業でもできます。しかし、班別討議など参加型の研修は、オンラインでは効果が上がりません。同じような悩みを持った職員が集まって、意見を交換する。そのことに大きな意義があります。
市町村職員は意外と、他自治体の職員との交流は少ないのです。

3 そして、授業時間以外にも意見交換をして、知人や友人をつくる。これが、大きな財産になります。

市町村アカデミー機関誌2025年冬号

市町村アカデミーの機関誌「アカデミア」令和7年冬号が発行されました。いくつか紹介しますので、関心ある方はその記事をお読みください。

西村浩・ワークヴィジョンズ 代表「縮退の時代に生き残るための新しいまちづくり実践論
谷口尚子・慶應大学教授「多様な人材の地方議会への参画促進
森戸裕一・ナレッジネットワーク社長「自治体DXの推進とタイムマネジメント
瀬田 史彦・東京大学准教授「人口減少社会におけるまちづくり関連計画の意義とポイント

自治体職員の方に事例紹介をしてもらうことにも、力を入れています。
埼玉県吉川市「デジタル化と住民サービス向上の取組」
福島県会津若松市「働き方改革に取り組む自治体のリアルすぎる挑戦の道のり」
栃木県宇都宮市「ネットワーク型コンパクトシティ形成に向けたまちづくり」
茨城県取手市「議会のペーパーレス化等」