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地方行財政

国が決める地方税制

今日、福田総理と石原都知事が会談し、都の税収を暫定的に他の県に配分することを、条件付きで同意したと報道れています。ここに見えるのは、地方税制が、国によって決められているということです。
もちろん、日本は単一国家であり、連邦制ではありません。国とは別に、地方が完全に独自に税制を決めることは、現実的ではありません。しかし、都知事が発言していたように、国が一方的に決めることが、分権の姿から適切なものか、疑問があります。今回は総理と都知事が会談しましたが、これは珍しいことです。初めてのことではないでしょうか。
私は、地方税制改正に際しては、地方団体の代表の意見を聞く場を作るべきだと考えています。地方税は国庫補助金と違い、地方の本来の収入なのですから。
これに関連して、大臣と知事との会議の様子を、思い出しました。政府主催の知事会議です。議事録を見ると、税財政・医療福祉・教育・道路などに関して、意見が交わされています。そしてその多くは、知事から大臣への「お願い」になっています。
日本語では、対等の場合や上の者が下の者に対しても「お願い」を使う場合がありますから、文脈をよく読まないと陳情なのか依頼なのか、わかりません。しかし、依頼にしろ陳情にしろ、知事が自らの責任で処理をできない、あるいはできないと考えておられるようです。これに対し、連邦制のアメリカでは、州知事は滅多にワシントンに行かないのだそうです。

分権勧告があぶり出すもの

30日の読売新聞に、青山彰久編集委員が「分権改革推進委中間報告。官の抵抗、どうさばく」を解説しておられます。
・・「本当にこんな改革ができるのか」と多くの人が思うに違いない。中間報告に盛り込まれたほとんどの事項に、各省が反対しているからだ。同委員会は来年5月を目標に、中間報告を基にした第1次勧告を首相に行う。「省庁の壁を突破するのをバックアップするのは福田首相の情熱」と丹羽委員長は言う。今後は、来春が一つのヤマ場になりそうだ・・官の抵抗を首相はどうさばくか。「政と官」の関係を問う場面がありそうだ・・首相に勧告尊重の義務を課さない今回は、委員会が言いっぱなしで終わる危険はある。だが、委員会は、筋を通した勧告を作って首相に委ねれば、「最後は政治が決定する」と促すこともできる。政策過程が透明になり、首相の責任をはっきりさせることになるかもしれない・・

分権改革委員会・中間とりまとめ

22日の日経新聞夕刊「ニュースの理由」は、谷隆徳編集委員の「分権改革委、省庁に切り込む。地方政府、3度目の正直?」でした。・・1990年代後半の第一次分権改革でも、国道や一級河川の管理権限の地方への移管が一時検討されたが、実現しなかった。官僚と族議員がタッグを組んで徹底抗戦したうえ、当時の橋本龍太郎首相が省庁の事前了解を勧告案の前提に求め、自ら汗をかくことを避けたためだった。小泉政権が取り組んだ税財政の三位一体改革も「地方案を尊重する」と繰り返し発言した首相自身が指導力を発揮する場面は最後までなかった。過去二度の改革ともに中央省庁の権限はほぼ無傷で終わったといえる・・今度は三度目の正直となるのかどうか・・