10日の読売新聞社説は、「国の出先機関 大胆に業務を地方に移せ」でした。
・・国の出先機関の本格的な見直しは戦後初めてとなる。中央省庁が再編され、市町村合併が大幅に進んだが、国の出先機関はほとんど手つかずのままだった。戦後の復興期や高度成長の時代には、国が地方をリードする必要があったが、今は、むしろ地方の自由を制約している。職業紹介や中小企業対策では、出先機関と都道府県の業務の重複が目立つ。より住民に近い自治体に業務を一元化した方が、効率的な行政ができるはずだ。大半の通常業務は地方に任せられるはずだ。国は、業務の全国統一基準を示したうえ、法令や政策の相談・監督役や技術の指導役に徹すればいいのではないか。
・・地方分権は、総論賛成、各論反対に陥りやすい。中央官僚の反対を抑え込み、具体的な成果を上げるには政治の役割が重要だ。福田首相や町村官房長官は、年末の最終段階になって、調整に乗り出すのでは遅すぎる。今後の節目節目で、各省庁に対して積極的に指導力を発揮すべきだ。
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地方行財政
出先機関縮小
7日の日経新聞夕刊「ニュースの理由」は、中西晴史編集委員の「国の出先機関巡る攻防激化。抵抗抑え、改革示せるか」でした。・・分権委は各省との折衝を1月から開始・・国土交通省とは国営公園の管理を巡って珍問答も。「樹木、動物など全国的、圏域的単位で対応する必要がある」と主張する国交省側に、丹羽委員長が「県と国が管理することで木の育ち方が違うのか」と問いかけると、国交省側は「全然違う」と回答。丹羽氏はあきれ顔で「そんなことはない」。麻生知事会長から諮問会議で協力要請を受けた福田首相は民間議員でもある丹羽氏に向かって「大変ご苦労をいただいているが、頑張っていただきたい」と激励した。福田首相にとって初めての骨太の方針だ。改革姿勢を示して内閣支持率低下に歯止めをかけようとするのか、官僚や族議員の包囲網で結局動きがとれないのか。決着の姿はなお見えない・・
人の登録は市町村、土地の登録は国?
記者さんとの会話
記:国の出先機関整理を勉強していて、気づいたんですが。不動産登記って、なぜ法務省の出先でやっているのですかね。戸籍は市町村役場でしょ。
全:良い点に気が付いたね。私も、昔から不思議に思っていた。動く人間の登録が地方団体で、動かない不動産の登録が国の出先というのは、逆だわな。
記:そうなんです。税金も固定資産税は市町村でしょ。動かないんだから、市町村にぴったりですよね。不動産登記も市町村でやれば、一元化できますよ。
全:たぶん、歴史的な経緯だったんだろうね。
記:不動産の登記事務って、そんな難しくないんでしょ。
全:だろうね。市町村に移っても、市町村はメリットがないという意見も聞く
ね。画一的な事務だし。
記:そんなことを言ったら、戸籍だって全国画一の事務ですよ。国の出先に移しますか?住民からすれば、不動産登記も市町村役場で処理できれば、便利になりますよ。法務局って、どこにあるか知らないもの。それに、小さな出先機関がいくつもあるより、市町村に集めれば、内部管理組織が不要になって、コストも下がります。
経済財政諮問会議「政府機能の見直し」国の出先機関の地方移譲など
今日28日に経済財政諮問会議が開かれ、「政府機能の見直し」が議題になりました。
「国と地方の仕分け」にあっては、国の出先機関の地方移譲が議論されました。昨年5月25日に諮問会議民間議員が、21万人いる出先機関職員を、国に残すもの10万人、地方へ移譲するもの10万人とに切り分けました。それを基に、地方分権改革推進委員会で検討していますが、委員会から全国知事会に、検討を再依頼しました。その結果が、このHPでも紹介した、2月8日の知事会案です。今日は、麻生知事会長と山田京都府知事が諮問会議に出席し、その案を説明されました。
民間議員は、知事会案を高く評価し、次の工程を提案しました。
分権改革推進委員会で議論を加速し、仕分けの基本的考え方などを「骨太の方針2008」に盛り込む。さらに、分権改革推進委員会から、権限、組織・定員等を含めた出先機関改革の具体案を提示してもらい、これを実現するための計画を政府は平成20年度内に策定する、というものです。
またそこには、「各省は地方移譲について反対とのことであるが、現行の組織と職員をあわせて移譲することにより、事業執行についての不安は払拭されるはずであり、どのような弊害が具体的に生じるかを明確に示す義務がある」とも指摘されています。
総理からは、「国の出先機関の改革は、丹羽委員長が大変苦労をしておられる。これは、ぜひ精力的に審議を進めていただいて、地方出先機関改革の全体像を示してほしい」との発言が、あったそうです。
こうして国と地方を仕分けした後、国に残ったものについては、官と民の仕分けをします。それが市場化テストで、これについては対象を拡大することを提言しています。そして次に、現在の事務をスリム化するだけでなく、新しい事務の無用な拡大を防止するため、規制を新設する際のチェック強化を提言しています。
道路特定財源と分権
232日の朝日新聞に、片山善博前鳥取県知事の、道路財源についてのインタビューが載っています。
・・道路が要るか、要らないかという議論はほとんど無意味。要る道路は要るし、要らない道路は要らない。1本ごとに審査し、教育など他の施策とどちらが優先度が高いか議論すればいい・・
(多くの首長が暫定税率維持を訴えていることについて)
そう言うのは、自治体の財政しか頭にないからだ。「民のかまどを考えたら減税を」という主張が少しでも出るのがバランスというものだが、知事会にそんな人はいないし、市長会も(暫定税率維持を求める署名をしなかった)6人以外は国土交通省の言う通り。残念だ・・地方6団体は総務省の外郭団体。情けない。この間まで、三位一体改革で「一般財源化しろ。自由をよこせ」と言っていた人たちが「道路にしか使えないように縛って、縛って」。緊縛趣味のマゾヒストですよ・・