7月30日のNHK時論公論は、二宮徹・解説委員の「新たな復興枠組み 被災地の自治体は”自立”できるのか」でした。そこでは、復興の進ちょく状況、来年以降の復興事業の枠組み、地元負担の概要のほか、自治体の「自立」への新たな課題が検証されています。
・・・復興後の街を想像してみます。病院など重要な施設以外にも、新しい道路にホールや観光施設が並びます。こうした施設は復興を強く実感させてくれるでしょう。しかし、「負担が少ないならもっと作ろう、大きく作ろう」となってしまうと、余計なものが増えたり、規模が大きくなりすぎたりするおそれがあります。人口や産業の規模に見合ったものにする必要があります・・・
特に「次の世代のために」として、陸前高田市の例が紹介されています。
・・・こうした中で、すでに自ら事業の規模を小さくする動きも出ています。
陸前高田市は、小学校や図書館など、15の公共施設を再建する計画の中で、延べ床面積のおよそ10%を縮小する方針を決めました。既に完成した消防署は防災センターと集約したほか、今後も商業施設と図書館を併設するなどして、効率化を図ります。
自主的に計画を縮小する理由を市長に聞いたところ、次の世代にかかる財政負担を少しでも減らすためということでした。この「次の世代のため」というのは、とても重要な視点だと思います。
公共施設は運営のための人件費や電気代などの維持費がかかります。修繕費は、壁を塗り替えたり、道路の穴を直したりするものですが、数年後には年間1億円以上かかるおそれがあります。これに加え、数十年後には建て替えが必要になります。
特に被災地では、今、一斉に道路や施設をつくっていますので、将来は、何億、何十億円の建て替えを毎年のように行うことが懸念されます。ところが、その頃には今のような国の手厚い支援は期待できません。次の世代の負担を検証する機会は、こうした施設を建てる前の今しかないのです。
また、人口や税収が減る中、将来にわたって住民の暮らしをどう支えるのかも、今、あらためて問われています。しかも、復興が長引く福島では、特に将来を考えたまちづくりが求められます・・・