季刊『行政管理研究』2015年6月号に、寺迫剛・研究員が「集中復興期間最終年の復興庁―司令塔機能から管制塔機能へ」を書いています。発災直後から現在までの政府の対応を評価し、また今後のあり方を提言しています。ポイントは次のようなものです。
阪神・淡路大震災の教訓を生かし、発災直後の初動対応がよく機能したこと。
被災者生活支援本部が、政策決定だけでなく政策実施まで踏み込んだことが、後に復興庁の機能につながっていること。
危機管理体制から、復興対策本部を経て復興庁へと、復興体制に時間がかかりつつも移行したこと。
当初の復興庁について、「査定庁」であるという地方に寄り添っていないという批判と、逆に「御用聞き」という中央政府としてのリーダーシップを発揮していないという相反する批判があったこと。その後、復興庁が司令塔機能を発揮していること。
今後は、司令塔から「管制塔」へ機能を変えることが望ましいこと、などが論じられています。
最後の管制塔機能は、被災自治体を様々な目的地へ行き交う多くの飛行機にたとえ、復興庁をそれらに自治体(飛行機)に最適なルートを提示する航空管制のイメージにたとえています。
・・・地方ではそれぞれの市町村によって目指す復興のかたちは多様であり、その進展の度合も多様である・・・復興庁は管制塔として、それぞれの目指す方向に応じて、各府省の制度的枠組みを組み合わせて最適なルートをを示す。すでにタスクフォース方式により復興政策を総合的かつ加速化するルートが各政策領域に整備されており、「新しい東北」事業により今後も多くの新たなルートが開拓されていくであろう・・・
ご関心ある方は、ぜひお読みください。