日本学術振興会で村松岐夫先生が中心となって、社会科学者を動員して東日本大震災の分析をしてくださいました。「東日本大震災学術調査」。3年にわたる大事業です。このページでも紹介しているとおりです。その成果が、順次、本となって刊行されています。
このたび、それとは別に「事業報告書」が公表されました。内容は、本文を見ていただくとして、目次は次のようになっています。
第1 章 調査の経緯
第2 章 発災と初動
第3 章 震災への政府の対応
第4 章 復旧と復興
第5 章 未来への教訓
第6 章 各班の調査研究活動
「はじめに」p2にあるように、今回の大震災では、技術・工学からの分析だけでなく、社会科学からの分析も必要であり、重要だったのです。このような多角的な分析をしていただき、ありがとうございます。
この報告書では、研究調査のいきさつや概要だけでなく、第2章から第5章までで、簡潔に政府の対応が検証されています。この部分だけでも、お読みください(合計20ページ余り)。分厚い報告書も必要ですが、短い文章にまとめることは一般の読者にとって有用です。しかし、それは非常に難しいことです。全体を知り、重要なことを選び、しかもバランスよく記述する。村松先生でなければ、できないことでしょう。また、第5章未来への教訓も、重要です。
なお、p12には、次のような文章も載っています。
・・・被災者生活支援チーム、次いで復興対策本部の担当大臣は、内閣府特命防災担当大臣(当初は松本龍氏、2011 年7 月からは平野達男氏)であったが、事務局次長として実務を動かしたのは岡本全勝内閣審議官(当時)であった。この支援組織は、東日本大震災復興基本法(平成23 年6 月24 日法律第76 号)の規定により、2012 年2 月に復興庁として組織替えになったが、平野―岡本のコンビはそのまま続いた。この復興庁は、複数の省庁にまたがる問題の調整権をもつワンストップ機関になることを理念としていた・・・
過分な評価をいただき、ありがとうございます。