小笠原啓著『東芝 粉飾の原点―内部告発が暴いた闇』(2016年、日経BP社)を読みました。考えさせられる内容です。以下、この本の内容が事実だという前提で書いています。
名門企業の東芝の歴代社長が、業績を良く見せるために、経理の不正を部下に指示し、部下もそれに答えます。そして、さらにその部下に、無理な作業がしわ寄せされます。無力な中間管理職と、犠牲になる部下。
取締役も監査法人も、歯止めをかけることができません。発覚したあとにつくられた第三者委員会も、全容を解明しません。不正に関与した幹部職員が居残るので、真実の全体は明かされません。内部通報制度も、それを利用した調査も、上司に見られることを恐れて、機能しません。不正の中心になった幹部は、マスコミからの取材を拒否し、自らの責任もまた潔白であることも明らかにしません。
たぶん、私たちにはわからない「守らなければならないこ」とがあるのでしょうが・・・・。