2025年12月21日の読売新聞「あすへの考」、大塚隆一・編集委員の「少子高齢化 世界で加速 人類史上初 予測超える悪化 新しい繁栄モデル構築 課題」から。詳しくは記事をお読みください。
・・・少子高齢化が深刻なのは日本だけではない。豊かな国も貧しい国も、民主国家も強権国家も同じ問題に直面しつつある。人口が減少に転じる国も増えてきた。同時に進む経済成長の減速は問題への対処を一段と難しくする。人類史上初めての事態は世界にどんな波紋を広げるのか。
まず国連の最新のデータから作った図やグラフを見てほしい。
左側は世界全体で進む少子化の現状と見通しだ。尺度にしたのは「合計特殊出生率」。1人の女性が生涯に産む子供の数の平均である。この値が1950年から2100年までの150年間にどう変わっていくかを示した。将来の予測は国連が最も可能性が高いと考える「中位推計」に基づく。右側は高齢化の推移だ。比べたのは、全人口を年齢順に並べた時にちょうど真ん中にくる「年齢中央値」である。これは国の「若さ」や「老い」の目安になる。予測の部分はやはり「中位推計」だ・・・
・・・改めて驚くのは少子化と高齢化のスピードだ。
第2次大戦後まもない1950年、世界全体の出生率は4・85だった。今は人口を維持できる「人口置換水準」の2・1をかろうじて超える2・25まで落ち込んだ。同じ期間に世界の年齢中央値は22・2歳から30・4歳に上昇した。2100年には40歳を超える。これほど急速な高齢化を人類は経験していない。
子供の数が減れば人口は伸びが鈍り、いずれピークを迎える。グラフが示す通り「中位推計」だと世界の人口は2080年代に100億人を超え、その後は減少に転じる。14世紀のペスト禍を除き、人口が下り坂に入るのはやはり初めての事態だ。
個々の国や地域の動向では注目したい点が三つある。
まず中国と韓国の少子高齢化。子供の減り方は際立っている。高齢化の勢いも他国を圧倒する。中国の年齢中央値は2100年に60・7歳になる見込みという。一体どんな社会になるのか。
次に子だくさんのアフリカも変わっていく。どの地域よりも「若さ」を保つが、少子化はこの大陸にも及んでいく。出生率は今世紀末には人口置換水準を下回る・・・
・・・ここで断っておけば国連の将来予測には異論が多い。見通しが楽観的すぎるというのだ。
多くの専門家は人口のピークはもっと早いとみる。2053年に約89億人という「低位推計」の方が現実的という指摘もある。
なぜなのか。国連は出生率が大きく下落すれば、その後は安定または反転すると仮定している。だが実際は少子化が止まらず、むしろ加速している国が多いからだ。例えば、日本。国連は2023年の出生率1・21が翌24年には1・22に回復すると予測したが、現実は1・15への低下だった。トルコは大外れだった。予測は23年1・63→24年1・62だが、実際には1・48まで急落した。
こうした流れが続けば、2100年の世界の出生率は1・84よりもっと落ち込む可能性がある・・・
・・・国連の推計が覆される例が相次ぐことが示すように、人口の将来予測は難しい。こんな例もある。
国連は人口予測を2~3年ごとに公表している。今回の2024年版を2019年版と比べると世界人口のピークは「2100年頃に約109億人」から「2084年に約103億人」に変わった。ピーク年は16年も早まった。また中国の2100年時点の人口予測は「10・7億人」から「6・4億人」に激減した。たった5年で国連の見通しはこれほど変わった・・・