働きたくない国?日本

9月22日の朝日新聞「働きたくない国、嫌だから 中高生が改革案競う」から。

・・・8月中旬、一風変わったコンテストが開かれた。その名も「労働の未来会議」。働き方改革のアイデアを競う大会だ。
4日間で実態を学び、独自案を示す。全国からオンラインで参加した中高生14人を前に、発案した私立かえつ有明高校(東京都)3年の赤松慶亮(けいすけ)さん(18)が呼びかけた。
「英語を話せる友人は海外で働くそうです。働き方改革の進まない日本企業で働くことが僕たちの世代にとって『最後の選択肢』とならないよう、自分たちの社会を考えるきっかけにしましょう」
商社に勤める父の転勤で6歳から8年間、アメリカで過ごした。仕事を終えた父が宿題をみてくれ、週末は家族で出かけた。帰国した後は、帰宅時間が遅くなり、家でもパソコンに向かっている。「進路などを相談したいけど、なかなか顔を合わせる機会がないですね」

まず日本企業の印象を話し合った。
「同調圧力が強そう」「親は休みの日も呼び出されている」。「日本の企業文化と合わなそうだから、国外で働きたい」という意見も出た。
では、就職先を選ぶ際に重視することは?
「フレックスタイム制と在宅勤務を導入していること」「仕事とプライベートを両立できること」「評価が明確か」

日本は、週49時間以上の就業者比率が米国や英国など主要7カ国中で最も高いのに、労働生産性は最下位だ。「最も時間をかけて仕事をし、生み出す付加価値が低い国。だから改革が求められているんです」

私立洗足学園高校(神奈川県)1年の永田結愛(ゆあ)さん(15)は、コンテストの期間中、学んだことを元に両親に尋ねた。
「なぜ仕事の帰りが遅いの?」「どうして休みの日も仕事があるの?」
ヘルスケア関連会社に勤める母親は、午後4時までの時短勤務のはずだが、毎日のように時間を超えて働き午後6、7時に帰宅する。営業で管理職の父親には、休日も電話がかかってくる。
母の職場のチームメンバーも多くの仕事を抱えて割り振ることができなかったり、父は取引先の都合だったり。「一人の意識ではどうにもならない。だから、会社や社会が変わらないといけないんだ」
制度を作るだけではダメだと気づいた。では、意識や環境を変えるには――。理想だけを押しつけては反感を買うかもしれない・・・