高校では地学を学ばない

9月4日の読売新聞夕刊に「理科4分野を高校必修に 科学者が提案 非科学的なデマ拡散防止へ」が載っていました。
高校生のほとんどが、地学を学ばないのですね。東日本大震災の話をする際に、地表のプレートが衝突する仕組みから始めることにしています。投影する図は、鎌田浩毅先生に作ってもらいました。先生に「大学生でも、知らないのですね」と尋ねたら、「高校で学んでいないから」との答えでした。この図は、外国政府幹部への講義でも、活躍しています。

・・・災害や感染症を巡るデマ拡散を念頭に、科学者から「高校で理科4分野を全て学ぶようにするべきだ」との声が上がっている。大学の研究者や高校理科教員などの研究グループは4月、各分野を横断的に学ぶ新科目の創設を文部科学省などに提案した。2030年度から順次実施される次期学習指導要領での導入を求めている。

現在の高校理科の学習指導要領では、物理、化学、生物、地学の基礎のうち3科目(計6単位)か、いずれか1科目と「科学と人間生活」の計2科目(計4単位)が必修だ。4科目(計12単位)が必修だった1960年代などと比較すると、理科を学ぶ機会は減っている。
文科省によると、地震などのメカニズムも学ぶ「地学基礎」の授業を1年次に開設した普通科の公立高校は7・1%(2023年度)にとどまった。生物基礎(59・2%)や化学基礎(48・8%)とは大きな開きがある・・・

・・・非科学的なデマ拡散は相次いでおり、SNSでは「7月に日本で大地震が起こる」といううわさが広まった。気象庁の野村竜一長官は6月の記者会見で、地震の日時や場所を予測することはできないとして、「デマと考えられるので、心配する必要は一切ない」と述べた。
国立青少年教育振興機構が7月に発表した調査結果では、日米中韓の高校生に「社会に出たら理科は必要なくなる」と思うか尋ねたところ、日本は「そう思う」が45・9%に達した。2位の韓国(33・5%)を大幅に上回っており、学習指導要領を担当する文科省教育課程課は「どうすれば理科への関心を持ってもらえるかも、議論の大きなテーマだ」とする・・・