社会的処方

3月17日の朝日新聞夕刊に「健康に「地域のつながり」処方 「社会的処方」、各地で広がる」が載っていました。

・・・医師が処方するものといえば、通常は「薬」だが、最近では「地域のつながり」を処方するのがトレンドだという。市民につながりをもってもらい、健康や幸福度を向上させようというのが目的だ。「社会的処方」と呼ばれるこの取り組みを紹介する。

1月中旬の土曜日、JR豊岡駅前(兵庫県豊岡市)から商店街を10分ほど歩くと、ガラス張りの建物の中に、ずらりと並んだ本が見えてきた。ここは「本と暮らしのあるところ だいかい文庫」という名のシェア型図書館兼ブックカフェだ。
運営するのは、保健所などに勤務する医師で、「一般社団法人 ケアと暮らしの編集社」代表理事の守本陽一さん(31)。2020年12月に立ち上げた。
だいかい文庫は、本を媒介として気兼ねなく入ることのできる空気をつくり、街の人たちの居場所となりながら、医療の専門家に「病気」「孤独・孤立」などを相談できる役割ももつ。必要に応じ、内部や外部の社会資源につなぐ。
守本さんによると、これまでの利用者はのべ約1万9千人。医療の専門家が相談を受ける「居場所の相談所」には、千件超の利用があった。うち200件超が社会的処方として、誰もが講師になれる「みんなのだいかい大学」や、地域の喫茶店などにつながれた・・・

・・・国も社会的処方に注目する。政府は20~23年の「骨太の方針」で、孤独・孤立対策などにからみ、社会的処方の活用をうたう。厚生労働省は、いくつかの自治体でモデル事業を実施。兵庫県養父市は、全国でも珍しい「社会的処方推進課」を設置、地域をつなげる取り組みを進める。

社会的処方とは
2006年にイギリス保健省が推奨、日本でも知られるようになった。医療・福祉・教育・地域活動など様々な職種の人が関わり、患者を取り巻く貧困や孤独、就労、住環境など、健康に影響を及ぼす「健康の社会的決定要因」にアプローチする。単身世帯や独居高齢者の増加による地域社会の希薄化への対応策としても注目されている・・・