連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第86回「社会の課題の変化―自由な社会で重要な他人とのつながり」が、発行されました。前回に続き、引きこもりが増えた背景として、生きづらい社会について説明しています。
他人から干渉されない自由は楽しいものですが、他方で、自分で選ばなければならないという「つらさ」も伴っています。しかも、何でも自由に手に入るものではなく、自らの力量や努力によって制約があります。うまくいかないときに、自由は重荷になります。
さらに日本では、「世間の目」という縛りがあります。自由な行動を世間が許さないのです。「我が道を行く人」にとっては負担ではありませんが、「繊細さん」にはつらいことです。
人とのつながり、社会での居場所が、孤立を防ぎます。しかしそれは、待っていても与えられるものではなく、自分でつくらなければなりません。各種の中間集団は、その機会を提供します。血縁、地縁、社縁などが薄れたいま、社会での新しいつながりをつくる必要があります。
他方で、孤独や孤立に悩む人に相談窓口をつくること、その人たちを発見して支援することも重要です。