2月1日の朝日新聞オピニオン欄「フィンランド、理想郷?」。サカリ・メシマキさん(大学院生)の「幼いころから議論と自立」から。
・・・フィンランド人は意識が高い、ですか? いえ、フィンランド人もさまざまで一概にそうは言えないと思います。ただ若者はジェンダーの平等やLGBTQ、気候変動問題などに関心のある人が多いかもしれませんね。政治を通じて社会を変えたいと声を上げる人もたくさんいます。
フィンランドでは政治は身近です。テレビなどのエンタメにも政治家を皮肉るネタがよく出てくるし、各政党の青年部では、多くの高校生や大学生が活動しています。僕も選挙の時は友達と話し、毎回投票してきました。日常生活で政治的話題を避ける方が難しいんです。
日本では政治がタブー視されますね。留学した大学のサークル友達に政治について話したら、「ニュース見てるんだ」と驚かれました。日本人は、政治の話をして他の人と意見の違いが表れることすら避けているように見えます。
日本でネガティブなニュアンスのある「意識高い系」という言葉は、フィンランド語にはありません。「家賃が高すぎる」「勤務時間が長い」といった自分に直接関わる日々の問題にも政治はつながっていて、そこから変えられると考えられているのです。
個人主義を重視するフィンランドでは、子どもの時から自分の意見を表現する経験を重ねます。学校では、世の中の物事について「あなたはどう考える?」と聞かれ、いろんな授業でクラスメートとよく議論しました。
自立することも大切だとされ、高校卒業後は、公的な補助を利用しながら親元から離れるのが一般的です。福祉制度の基盤のうえに男性も女性も一人一人が生計を立て、自分を持つということが「自立」と考えられています・・・
日本人の政治参加意識の低さは、連載「公共を創る」でも、文化資本の弱さにおいて書きました(記事になるのは3月頃です)。多くの人が、投票には行くのですが、政治活動にかかわることを忌避するのです。