9月26日の朝日新聞の論壇時評に、紹介されていたので、インターネットで読みました。坂本治也関西大学法学部教授の「日本人は、実は「助け合い」が嫌いだった…国際比較で見る驚きの事実 そして背後にある「政治嫌い」の意識」(『現代ビジネス』)
・・・2011年、東日本大震災が発生した直後、被災地の支援・復興のため、多数のボランティアと多額の寄付金が日本全国から集まった。自然と湧き上がった人々の助け合いの気持ちに、激しく心を揺り動かされた人は決して少なくなかったはずだ。あの時、私たちは「やっぱり日本人には、強い助け合いの精神があるんだ!」と再確認できたような気になっていた。
しかし、それは一時的な熱狂にほだされる中で目にした「錯覚」だったのかもしれない。国際比較の観点から見れば、平時において「日本人に強い助け合いの精神がある」とは言い難い。むしろ現状では、「困っている他者に冷淡な日本人」と言った方がより正確なのかもしれない・・・
・・・イギリスのNPOであるCharities Aid Foundationが公表したWorld Giving Index 20181というレポートでは、寄付やボランティアの頻度を基に世界各国の「共助」レベルのランキングが示されている。調査対象となった世界144カ国の中で、日本の順位は128位である。先進国として最低ランクに位置する。
同レポートの調査では、過去1ヶ月の間に、(1)困っている見知らぬ他者の手助けをした者の割合、(2)慈善団体に寄付した者の割合、(3)ボランティア活動に時間を割いた者の割合、が各国ごとに調べられている。日本の割合は、(1)=23%(世界142位)、(2)=18%(99位)、(3)=23%(56位)である。とくに(1)と(2)が他国と比べて低調といえる(図1)・・・
・・・同様に、内閣府が2018年に実施した「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」2では、日本を含む7カ国で13〜29歳の若者を対象に「ボランティア活動に対する興味」の有無を尋ねているが、日本の若者のボランティア意欲は調査対象国の中で最も低いことが明らかとなっている(図2)・・・
・・・これらの分析結果から、政治に対して不信感をもち、政治から距離を取りたがる人ほど、NPO・自治会・寄付・ボランティアなどの「共助」活動からも遠ざかろうとする傾向が確認できる。そこからうかがえるのは、「政治嫌い」が「共助嫌い」を助長してしまっている可能性である。政治によって毀損されてしまった「公共」のイメージが、「新しい公共」である「共助」活動にも投影されてしまっている恐れがある・・・
この説に同感です。「政治は「彼ら」がするもので、私たちには関係がない」という意識が、社会の問題に自発的に参画しないことにつながっています。税金を公共を支えるための会費と考えるのか、国に取られるものと考えるのか。その違いが出てきます。
マスコミはしばしば、政治を批判し、おとしめるような評価をします。それは、国民の政治離れを後押しします。政治は「彼らのもの」として批判するのではなく、「自分たちが作るもの、彼らはその代理」という意識が必要です。
いま連載している「公共を創る」でも、その点を議論する予定です。