近年の少年非行

朝日新聞オピニオン欄11月15日、家庭裁判所調査官・伊藤由紀夫さんのインタビュー「非行少年だけが悪い?」から。
・・・非行少年はうまくいかないことやおもしろくないことがあると、投げやりになって窃盗や無免許運転など行動化します。悪いことだとわかっていても抑えられない。そういう未熟さは今も昔も変わりません。
共働きが普通になり、家族もそれぞれが孤立して、学校にも居場所がなくなっています。昔は反社会的・不良顕示型の少年が多かったですが、最近は非社会的・対人関係回避型が増え、不登校や引きこもり、自殺念慮が目立ちます。「一昨日から何も食べていない」という子どもによく会います。昼夜逆転の生活で親と顔を合わせず、家の冷蔵庫に何もない状態です。小学校高学年から大人と一緒に食事をしたことがない子どもも珍しくありません・・・

・・・自分の部屋でゲームやラインをして親子が面と向かって会話する時間が減っているのでしょう。少年と話すと、「大人にこんなに話を聞いてもらったことはない」と漏らす子も少なくない。早い段階で話を聞いてあげれば、少年たちは変わっていきます。非行を起こした少年が何にはまって、どういう考え方を作り出してしまったのかに社会はもっと目を向けるべきです。大人が子どもを放置しすぎていないでしょうか。
一方、少年院に入るような子は、就職や復学の手がかりが得にくくなりました。高校を中退しても、学習を支援するサポート校に入れば高卒認定資格を取りやすいですが、学費が高い。経済力がないと、学歴を取り戻すのは難しい。かつては型枠や塗装などの親方への弟子入りもありました。でも、いまは一人親方も非正規雇用で、少年を連れて歩くのは厳しいのが現状です・・・