4月8日の朝日新聞に「日本語サイト、開設続々」という記事が載っていました。
・・・欧米の大手メディアの日本語版ニュースサイトが次々に誕生している。公共放送、経済紙、通信社。米大統領選など世界中が注目する国際ニュースが近年多いことや、東日本大震災の発生が、日本語読者の海外ニュース需要を高めているとの見方もある・・・
日本のニュースなら日本の報道機関の方が充実しているでしょうし、海外ニュースなら通信社の配信か日本人特派員の記事で良さそうなものです。なぜか。
・・・ロイターの下郡さんと、WSJの西山さんは「日本の読者は日本が世界にどう見られているのかをとても気にする」と口をそろえる。11年の東日本大震災と原発事故が閲覧者増の一因になったとも指摘する。下郡さんは「日本メディアが政府の主張をそのまま伝えているのではないかとの不満もあり、海外から福島に入った記者の記事がよく読まれた」と振り返る・・・
・・・BBCの加藤さんは、日本の報道機関との立ち位置の違いを指摘する。「例えば日本のメディアが米国政治を報じる際には、TPPや安保などで日本にどんな影響があるのかが何よりも大事になる。我々は、日本では報道されない情報に価値を見いだしている」
在英ジャーナリストの小林恭子さんは「海外ニュースが日本語でそのまま読めるのがだいご味。学者やビジネスマンの情報収集にも便利だ。日本メディアも、ニュースに多様性を持たせることが求められているのでは」とみる・・・
日本は島国であることとともに、日本語が一番の「非関税障壁」だと私は考えています。商品はその壁を越えますが、報道、教育、研究などは、日本語の壁に守られ「鎖国」「ガラパゴス」状態でも生きてこれました。高等教育を、英米仏以外の自国語でできる国は少ないのです。多くの国で指導者層は英語でニュースを見ています。日本でも、自然科学研究分野は、日本語の壁を越えて海外へ打って出ています。
新聞社、大学、霞ヶ関が、日本語で守られた代表例です。報道で、日本語の壁をこのような形で乗り越えるとは想像していませんでした。