企業の組織力

日経新聞「やさしい経済学」で、守島基博・一橋大学教授の「毀損した日本企業の組織力」が始まりました。「組織能力」について、次のように書いておられます。
・・・企業の「得意技」とでもいうもので、競合企業との差別化を持続的に可能にする能力を指しています。製造業のモノづくり能力などが例として挙げられます。
ただ、近年は別の議論も目立つようになってきました。経営戦略と深く結びついた差別化能力と異なり、どの組織も基盤として持つべき強みのようなものが、持続的競争力のためには必要だという議論です。
例えば職場内訓練(OJT)で人を育てる力です。OJTが機能するには、直属の上司が教えるほか、現場で本人の能力よりも少し高いレベルの仕事を与え、周りみんなで支援し、ほめたり注意したりしながら、その経験からの学びを最大にしていくプロセスが大切です。つまり、人材を育てる力は組織全体で担われる組織能力なのです・・・

私は、役所の持つ組織力を考えてきました。「社風」と言った方が通じるでしょうか。「社風」というと、「気風」と取られてしまいますが、能力の違いです。その組織が持っている、過去から引き継いだ能力の高さ、強みです。
国の各省庁でも、省が違うと、新しい課題への取り組み方に違いがあります。自治体も、法令に基づき同じように行政を処理していても、役所によって仕事の仕方や気風、さらには能力が異なるのです。新しい課題に逃げない、議会答弁案作成を逃げないと言ったものもあります。
個人の場合だと、仕事に取り組む積極性といった性格であり能力です。それは文章には表しにくい、また数字ではとらえにくいものです。連載「明るい公務員講座」でも、解説しようと予定しています