SNSで分断される社会

「フィルターバブル」という言葉を、ご存じですか。2月24日の読売新聞解説欄「SNSで分断される社会」で取り上げられていました。ネット上のサイトが、利用者の好みに合わせて情報をフィルターにかけて選別することで、利用者は自分と異なる意見から隔離され、自らが作った泡(バブル)の中に閉じこもることです。
ここでの「バブル」は、バブル経済のように実態なく膨らみ、いずれはじけ飛ぶ「泡」ではありません。他者を排除する壁です。ウィキペディアにも載っています。

ジョシュアベントン、ハーバード大学ニーマン・ラボ所長の発言から。
・・・フィルターバブルはSNSの本質的な問題だ。とりわけフェイスブック(FB)は、次から次へと表示される情報に利用者の関心を長時間引きつけるようにできている。米国では、FBの1日の平均利用時間は50分に上る。睡眠、食事の時間を除く生活の大きな部分をFBが占めている。
FBなどはさらに、似た考えの者同士を引き合わせることで人を一定の方向に過激化させる傾向がある。それがトランプ大統領を誕生させ、イスラム過激派組織「イスラム国」も勧誘にSNSを効果的に使っている・・・

指摘の通りです。スマートフォンには、しきりにそれを見たくなる、また画面から離れられなくなり長時間費やすという、「中毒」があります。横に置いておくと、仕事にしろ勉強にしろ、注意が集中できなくなります。
さらに、この記事が指摘しているように、思考と思想が限定されるのです。幅広い見方や異なる意見を、知らず知らずのうちに排除してしまいます。SNSは人とつながるための道具なのですが、逆に狭い世界に閉じこもり、広い人とのつながりを拒否してしまいます。逆説的なできごとです。これは、困ったことです。原文をお読みください。