企業が作り売るおいしいお米

先日、宮城県亘理町を視察した際に、「舞台アグリイノベーション」の精米工場を見せてもらいました。田んぼの真ん中に、巨大なビルが建っています。高さ30メートル、横60メートル、奥行き150メートル。仙台駅とほぼ同じ大きさだそうです。
4万2千トンのお米を、保管できます。1メートル×1メートル×1メートルの袋が、4万2千袋保管できると言うことです。もちろん全自動の倉庫です。タグをつけてあるので、いつ入れたか、その袋が倉庫のどこにあるか、すべて管理しています。
この精米工場の特徴は、お米を生鮮食品として扱っていることです。お米の味は、もちろん稲の種類と育て方によりますが、刈り取ってから特に精米してからおいしさが落ちます。温度と酸素だそうです。この工場では、全体を低温に保ち、そして精米したら脱酸素剤と窒素で袋に密閉します。日持ちのしないお菓子などに脱酸素剤が入っていますが、お米の袋にそれが入っているのは、びっくり仰天です。賞味期限も表示されています。すなわち、お米が生鮮食品として扱われているのです。
家族の数が減り、またお米をたくさん食べなくなったので、小袋に入れるのも、消費者の要望に合っているでしょうね。お米の検査も、専門的に行われています。農薬などのほか、水分量、食味値、成分、整粒率(被害米等を除いた完全粒の割合)です。規格外のお米は、一粒ずつ機械がより分けるのだそうです。

この精米工場の特徴は、アイリスオーヤマと舞台ファームとの合弁会社です。
アイリスオーヤマは、皆さんご承知のように、さまざまな日用品を売っている会社です。大山健太郎会長から、ぜひ見るようにと言われていたのですが、ようやく約束が果たせました。私はアイリスオーヤマと聞くと、プラスチック製の収納用品を浮かべます。わが家でも使っています。お米は思い浮かべませんが、そこは進取の気風あふれる大山社長の着眼なのでしょう。
もう、家族で田んぼを耕す時代ではありません。お米にあっては、大規模化することで費用を抑え、生産を管理して品質を保証する。事業・企業としての農業が、生き残る方法だと思います。
舞台ファームは、仙台に本拠を置く農業法人です。「畑の中のカット野菜工場」を標榜していて、安全で美味しい野菜をカット野菜で提供しています。 少子高齢化社会では、お手軽に調理できるカット野菜も、消費者の要望に合っています。 カット野菜の市場規模は約1900億円で、インスタントコーヒー市場とほぼ同じだそうです。