大久保利通の構想力。司馬遼太郎さん

司馬遼太郎著『明治国家のこと』(2015年、ちくま文庫)、「近代化の推進者 明治天皇」p291。
・・山崎正和 ところで西郷が西南戦争で死ぬと、大久保もすぐ暗殺されますね。維新後わずか10数年ですが、もし大久保がもう少し生きていたらというのは、つまらん空想ですかね。
司馬遼太郎 大久保が生きていたら、山形のような小粒が、精神のいじけた天皇制国家をつくるようなことはなかったと思います。大久保は物事については、つねに普遍性を考える傾向があった人物ですから、こんな特殊な国はつくらなかったと思いますよ。同じ天皇という問題をとりあげても、統帥権による軍部の独走ということは許さなかったと、思いますね。
山崎 実は私はそれをいいたかったんです・・・