今朝25日の朝日新聞1面トップに、「帰還希望世帯1~2割。福島第一周辺4町、復興庁調査」という大きな見出しの記事が載っていました。何事が起こったのかと、驚きました。公務員の悲しい性です。よく読むと、復興庁が県や市町村と一緒に調査している、住民意向調査結果を基にした記事でした。これまでに、何度か調査して、その都度公表しています。
記事では、住民の帰還意向が小さいこととともに、放射線量の違い(帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域)に関わらず、住民の帰還意向に大きな違いがないことを指摘してます。解説では、戻らない理由について、次のように書いています。
・・・「原発の安全性」や、帰っても「医療環境」「商業施設」がないとする回答が目立つ。避難者が向き合う故郷の現実は重い・・・
ご指摘の通りです。除染が終わっただけでは、住民は帰ることはできないのです。
他方で、次のようにも指摘しています。
・・・ただ、わずかであっても帰還に望みを持つ避難者がいる。それに応えるには、政府や自治体も、住民が1~2割に減る現実から目をそらさない覚悟が必要だ・・
当初、政府は、避難者全員の早期帰還を方針としていました。その後、このような住民の意向と放射線量の予測にしたがって、方針を転換しました。現在では、「早期に帰還できる人」「時間がかかっても待つ人」「新しい生活を選ぶ人」の3つに分けて、住民の意向に沿った対策を打っています。
大きな見出しや記事に書かれたことは、私たち関係者には既知のことですが、多くの国民は詳しくは知らなかったでしょう。このように原発事故避難区域の厳しい現実を伝えてくださった、大月記者に感謝します。