復興庁では産業復興支援のために、被災企業と都会の企業を結びつける「結いの場」(お見合いの場)や「新しい東北」をつくるための「先導モデル事業支援」などに取り組んでいます。また、大企業や企業が作った財団が、被災企業に対して技術やノウハウの支援をしてくれています。マルシェという、被災地の産品を売ってくれたり、食材に使ってくれたりもしています。
これらの企業支援をどう位置づけたら良いか、ずっと悩んでいました。ようやく、次のような整理をしたら良いことにたどり着きました。
これまでの産業復興支援は、典型的には、次の2つでした。
1つは、被災企業の復旧を支援するものです。特別貸し付けや緊急保証といった資金繰り対策、中小企業グループ補助金などによる施設や設備の復旧補助、仮設店舗や仮設工場貸し出し支援、民間の財団による復旧助成です。
2つめは、企業や投資の呼び込みです。減税や利子補給、補助金による企業立地施策や規制緩和による復興特区制度などです。
これらは、施設設備を対象とした、カネやモノの支援が中心でした。
これらに対し、復興庁や企業が新たに取り組んでいるのは、第3番目の類型になります。被災地企業と都会の企業とのマッチング、ブランド・マーケッティング・販路開拓などのためのノウハウ・人材育成の支援、専門家(アドバイザー)の派遣などです。これらは、施設設備といったモノへの支援でなく、販路開拓・新商品開発などのノウハウへの支援です。そして手法はカネでなく、人によるノウハウ支援、場の提供やつなぐことです。民間企業やNPOが取り組んでくださっている事例も多いです。例えば、NHKテレビ「サキどり」9月14日で紹介されていた、「東北わくわくマルシェ」(東北の生産者と関西の事業者をつなぐ商談サロンと、東北の特産品のアンテナショップ)。
被災地の中小企業は、施設や設備を復旧しただけでは、売り上げは回復しません。復旧までの間に、販路は別の企業に奪われています。水産加工業に典型的に現れています。また従来のような商品を売っているだけでは、売り上げは増えません。
企業や専門家による支援、ノウハウの支援が必要なのです。先日(9月14日)紹介した、藤沢烈さんのインタビュー「お金でも制度でもない、被災地には人材が足りない」は、この点を指摘していました。
これは、行政が主体ではできません。支援してくださる企業や専門家と、支援を求めている企業とをつなぐことが、行政の役割でしょう。これまでも企業連携施策を進めてきましたが、行政と企業との連携だけでなく、支援企業と被災企業との連携について、位置づけも新たにして力を入れることにしました。