朝日新聞6月10日、オピニオン欄、三谷太一郎先生の「同盟の歴史に学ぶ」から。
・・冷戦後の世界は、多極化しました。ソ連が崩壊したあと、米国が空白を埋めて、絶対的なリーダーになるかと思われましたが、現実は予想に反しました。G8は、中国やブラジルなどを入れてG20になりましたが、覇権国家が消滅したことに着目すれば、現在の状況はG0(ゼロ)と言ってもよいかもしれません。冷戦後20年を超えた今日でも、安定的な国際秩序は未完の課題です・・
・・歴史上いまほど、理念というものが不足した時代はないでしょう。現在の世界的な傾向であるナショナリズムを超える理念が存在しません。裏返せば、国益に固執した短絡的なリアリズムが世界を支配しています。覇権構造が解体してしまった現実が私たちの眼前にあります・・