企業の不祥事が続き、その事実と原因を究明するために、第三者委員会が設置されることが多いです。12月7日の朝日新聞オピニオン欄は「不祥事と第三者委員会」を特集し、8日の日経新聞経済教室は、国広正弁護士の「第三者委員会、機能の条件」を載せていました。
それによると、企業の第三者委員会は、欧米から輸入された制度ではないそうです。1998年に破綻した山一証券の調査委員会から、10数年かけてわが国独自の第三者委員会が形成されたとのことです。刑事事件になると捜査機関が捜査しますが、それは犯罪を構成するかどうかという観点であって、不祥事の原因やなぜ防げなかったかの究明までは、期待できません。また、内部調査では、客観性が確保でず、真実が究明されずに、世間の信頼が得られないこともあります。
日本弁護士連合会では、昨年「第三者委員会ガイドライン」を制定しました。弁護士が、調査委員に依頼されることが多いのです。そして、依頼者である経営側は、真実を全て明らかにされることを好みません。そこで、このガイドラインが、経営者からの圧力に対して「盾」になるのです。
また、行政機関でも、第三者委員会が設置されています。10日の読売新聞は、政府(各省)が依頼した第三者委員会の、外部有識者へ払う報酬が適正かどうかを、取り上げていました。そこに、8件の第三者委員会が載っています。原発事故、汚職、裏金問題、ヤミ専従問題などです。
このホームページでも、行政の失敗を検証することの必要性を、何度か取り上げました(2007年11月1日、2日、5日など)。イギリスのイラク戦争を検証する独立調査委員会も、紹介しました(2010年2月20日)。私の関心は、行政の失敗を検証し、そこから教訓を蓄積することです。そのためには、このような検証実績をまとめる必要があります。
もっとも私の関心は、官僚の汚職などの不祥事でなく、行政の失敗や政策の失敗です。
なお、地方行政では、市民による監視として、オンブズマン制度が導入されているところもあります。