2000年に介護保険制度が導入されて、10年が経ちました。新聞などが、この10年を振り返っています。利用者は初年度149万人でしたが、現在では約400万人に増えています。家族の負担が、それだけ軽くなりました。もっとも、老老介護の困難や、認知症の妻を殺す夫の事件などの悲劇もあります。費用が増えて、保険料や利用料が引き上げられるという問題もあります。
介護保険制度は、法律ができて、2年半で実施に移されました。担当する市町村役場は、準備が大変だったのです。短期間に全国一律に実施することができたのは、法律と、財源(国庫支出金と地方交付税)と、市町村の能力があったからです。また、導入までに、1990年代にシルバープランやゴールドプランなどで、サービス提供能力(施設と人員)を急速に準備しました。当時、私は交付税課課長補佐で、財源を手当てしたことを思い出します。大変な額でした。
私は、介護保険制度が、日本が先進国から輸入する、最後の大きな制度だと、主張してきました。行政サービスは、ほぼそろえたということです。もちろん、下水道や公園など、まだ不十分なものもありますが、仕組みは出そろっています。輸入するものはなくなりましたが、国内では新しい課題が、次々と生まれています。子どもの格差や、引きこもり、虐待などです。介護制度も、いろいろ指摘されている問題を、解決していかなければなりません。また、介護サービスを、措置(市役所があてがうこと)から、選択(利用者が選ぶこと)にしたことも、画期的なことだったと評価しています。