週刊「東洋経済」2008.1.12号「経済を見る眼」八代尚宏教授の「高齢化社会へ対応した年金改革を」から。
・・過去の高い成長期には、働く者は年々豊かになる一方で、貧弱な蓄えに依存した高齢者は、疑いもなく「弱者」であった。その意味で年金や医療保険における世代間の負担と給付の格差は、公平な所得再分配であった。しかし、戦後生まれの団塊世代が引退期を迎え、高齢者世代はもはや弱者でなく、最も所得や資産の格差が大きな年齢層でもある。
社会保障の負担を若者世代につけ回すのではなく、貧しい高齢者の生活保障は、豊かな高齢者の負担で賄う、同一世代内の所得再分配を基本とする必要がある・・