社会科学による大震災の分析

日本学術振興会による東日本大震災学術調査の成果が、東洋経済新報社から、「大震災に学ぶ社会科学」として発刊されます。その第1回として、第4巻『震災と経済』が発行されました。編集は、齊藤誠・一橋大学大学院経済学研究科教授です。内容は、次の通りです。
第1章 東日本大震災の復興予算はどのように作られたのか?
第2章 東日本大震災が消費支出と物価に与えた短期的影響:高頻度データによる実証分析
第3章 東日本大震災の家計消費への影響について: 恒常所得仮説再訪
第4章 労働市場から見た震災直後・復興過程における経済状況
第5章 決済システムから見た震災直後の金融経済状況
第6章 大震災と企業行動・企業金融
第7章 災害と自治体間の協力関係
第8章 東日本大震災が日本人の経済的選好に与えた影響
この巻は、経済学の立場から、様々な角度で大震災の影響を分析しています。目次を見ながら、「このような課題もあったなあ」と、分析角度の多様さを感じています。社会科学者を動員して、このような調査研究をしてくださった関係者、とりわけ代表である村松岐夫先生に感謝します。
政府の対応について、辛口の検証も書かれています。私たちとしては精一杯したつもりですが、第三者の目から見た評価も重要です。勉強させてもらいます。ご関心ある方には、お薦めです。また、公共図書館にも、備えていただきたいシリーズです。