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2007年春学期

採点

79人のレポートを採点しました。学生時代に、教授が「採点は大変です」とおっしゃっていたのが、よくわかります。これまでの大学院では、人数も少なかったです。79人にもなると、結構な労働です。200人とか400人になると、重労働でしょうね。
まず、全員がワープロで書いてくれたので、読みやすいですね。汚い字だと、それだけで元気がなくなります。誤字はなしとは言えませんが、少なかったです。ほとんどの学生は、文章も読みやすく、レポート慣れしていますね。また、「最初に結論を書き、目次を書くと点が高くなる」と予告しておいたので、かなりの学生は守ってくれました。
もっとも、ページが逆に綴じてあったり、書式がページの途中で変わっていたりするものもありました。締め切りに間に合うよう、あわてて出したのでしょうか。
次に、内容についての評価です。良くこれだけ調べて、また分析し考察したと、うならせるレポートが、1割ほどありました。この人たちは、文句なくAとしました。テーマは司法制度改革、民間委託、規制緩和、放送行政など。「具体事例を取り上げて」という、私の意図をしっかりと受け止めています。もちろん私の授業だけでなく、他での勉強の成果も活用しているのでしょうが、立派なものです。
その他の人達は、具体事例をどの程度調べているか、分析や考察、結論を基準に、BとCをつけました。採点基準や守るべきルール、お勧めの書き方を授業で説明し、紙で書いて渡したのですが、守っていない人もいました。そのような人には、DかCをつけたいのですが。あまり厳しいことを言うのもいかがかと思い、少し目をつむることにしました。次回は、きっちり厳しくします(予告)。
それにしても、エッセイの域を出ないものは、残念ですがCにしました。というか、出席日数が十分あれば、Dにはしませんでした。大甘な採点です。ただし、出席日数が少ない人には、レポートが提出されても、Dにしました。「成績評価は出席とレポートによる」と、最初に書いておきましたから。悪しからず。
内容では分析や考察が少なくても、努力の跡が見られるもの、それなりの分量を書いたものは、Bに格上げしました。我ながら、大甘です。すると、最初にBをつけた人とのバランスが悪くなるので、B+の人をAに格上げしました。これまた、大甘。学生にとっては、他の授業と試験も大変でしょうから、あまり多くを期待してはいけないのでしょう。
公務員制度改革、社会保険庁問題などを取り上げた人が多かったですが、部分的な考察であったり、新聞記事を出ないものが多かったです。「岡本の講義に沿って、または岡本の講義を批判して」を評価基準と示してありましたが、自説だけを述べる人も多かったです。
なお、「岡本先生の官僚批判は厳しすぎる。これでは公務員になる人がいなくなる」とか、「官僚を続けながら官僚批判をするのはおかしい」といった、意見もありました。うーん、問題の指摘が多すぎましたかね。私は、日本の官僚が国民の信頼を取り戻すためにはどうすれば良いかを考えて、批判と代案を述べているつもりです。脱線や冗談が、過ぎましたか。反省します。

授業の終了

今日で、無事に慶応大学の授業(春学期)を、終えました。休講もあり、授業は合計10回でした。予定していた内容・項目は、すべて話すことができました。
私がこれまで受け持った講義や講演の聴衆は、大学院生、公務員、学者がほとんどです。学部生相手の授業は初めてなので、少し苦労しました。学生は、行政学を履修しているとしても、現実の行政を知りません。また、近過去の日本の歴史や出来事を知らないのです。それに新聞も読んでいませんし(おっと、それは授業開始時での調査なので、現在は私の授業を受けている学生は、毎日、新聞を読んでいると思います)。第一次湾岸戦争、バブル崩壊、BSE牛問題・・・といっても、それを解説することから始めなければなりません。
学生の反応は、学期の途中でアンケートを取り、確かめながら進めました。ほとんどの学生が(全員とは言えませんが)、居眠りすることなく、熱心に聞いてくれました。まずは、理解してもらえたと思います。出席者も大きく減ることはなく、最後の授業も、60数人が出席していました。なるべく実例、体験を基に話しました。脱線も、たくさん入れました。90分間、興味を持ってもらうのは、それなりの苦労が必要です。
成績は、出席とレポートです。力作が提出されることを、期待しています。
この授業を基に、この秋から連載をする予定です。乞うご期待。また、秋学期は、地方自治論を担当します。どのような話にするか、夏休みに考えます。本に書いてあるような話だと、面白くないですよね、しかし、自治制度の基本は、教える必要があるでしょうし。難しいところです。

2007.07.07

今日は9回目の授業。政治の役割と行政の役割を、講義しました。私の体験を踏まえた話です。「ギョーカイ」の人には常識で、新聞にも時折書かれますが、普通の行政学の授業では、なかなか聞けない話だと思います。

2007.06.30

今日は、8回目の授業。行政改革を、それを迫る要因から分類して説明しました(行政改革の分類)。具体事例で説明するのでわかりやすいらしく、学生たちの反応(目の輝き)も上々です。そんなときは、講義をやっていて、やりがいがありますね。もっとも、それぞれの事例を十分に説明する時間はありません。
「ケインズ政策を放棄したこと」について、「ケインズ政策って、何ですか」という質問が出ました。それくらいは、本を読んで勉強してください。学生がケインズ政策を知らないことにも驚きましたが、それほど過去のものになったのでしょうか。先日亡くなられた宮沢元総理の追悼記事に、ケインジアンと書かれていました。このような記事も、十分理解されていないということでしょうかね。