4日の朝日新聞は、分権委員会勧告について、西尾勝委員長代理のインタビュー「市町村への移譲当然、内閣は明確に意志示せ」を載せていました。
「各省は相変わらず権限死守の路線です」との問に対しては、「これでも、ずいぶんと変わったんだ。・・河川や国道も前進した。かつては族議員が各省に分権委との接触を禁止して交渉すらできなかった。それが今回は国土交通省から分権の方向での回答が来た。族議員は確実に弱体化し、分権は少しずつ進んでいる」
「福田首相には、どんな対応を望みますか」との問に対しては、「内閣を支える各省がこれほど抵抗しているのだから、首相は『最大限尊重する』とは言えないだろう。各省と全面戦争するのではなく、内閣として実現項目を選び、各省に『これは内閣の意志だ。従え』というべきだ」詳しくは原文をお読みください。
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地方行財政-分権改革
2008.06.03
東京新聞3日の社説は、「地方分権勧告 官の抵抗いつまで許す」でした。
・・年内に予定される二次勧告では地方整備局など国の出先機関の見直しが焦点だ。出先で働く国家公務員は約二十一万人。多くの権限を地方に移せば、組織の統廃合につながり“身分”が危うくなるとの防衛本能が働いたようだ。 地方分権を掲げる福田内閣の方針に背を向けている。首相は見過ごしにしていいのか。これでは住民の関心も高まらない。役人の抵抗で「骨抜き」になった個所については、首相主導で骨を入れ直す作業をしてもらいたい。
2008.06.02
朝日新聞2日の社説は、「地方分権勧告―首相も首長も覚悟を示せ」でした。
・・「乳幼児は、自分で意思表示できないから、国の規制が必要だ」 。市町村が保育所を新設するときに、なぜ全国一律の基準に縛られないといけないのか。そんな疑問への厚生労働省の答えがこれだった。 こんなとんでもない理屈でしか存在理由を示せないお役所の縛りをなくし、権限や財源を移して自治体を「地方政府」に高めていく。地方分権改革推進法に基づき、地方分権改革推進委員会が、こうした内容の初めての勧告をまとめ、福田首相に提出した。
・・これを実行に移せるかどうかは、政治の責任だ。各省の官僚や族議員が抵抗している項目を、骨太の方針にどこまで盛り込めるか。福田首相のやる気がすぐに試されることになる。 知事や市町村長の覚悟も必要だ。各自治体の中には、「権限をもらっても面倒なだけ」との本音もちらつく。 分権は、政府と自治体間の単なる権限争いではない。よりよい暮らしを実現するための統治の仕組みの大改革であり、日本の再生がかかっている。住民の側からも改革を後押ししたい。
分権委員会第1次勧告の取り扱い
分権委員会第一次勧告
28日に、地方分権改革推進委員会が、第1次勧告をまとめました。29日の各紙が、概要とその評価を大きく伝えています。国が直轄している道路や河川を地方に移管することが始まったことは評価、ただし量的に少ない、というのがおおむねの評価でしょうか。また、いくつもの課題を先送りしたとも書かれています。
さて課題は、これらがどの程度実現されるかです。勧告は、委員会の勧告であって、政府の決定ではありません。もちろん、委員会に検討をお願いしたのは内閣ですから、依頼した以上それを尊重するのは当然です。尊重しないのなら、そもそも勧告を求めなければいいのです。しかし、内閣の決定とするためには、各大臣の合意が必要です。閣議は、全会一致が原則です。大臣が反対する場合、総理がどのような判断をされるかが、焦点になります。
日経新聞社説「地方分権は小出しの改革ではダメだ」は、次のように述べています。・・役人任せにすれば改革が中途半端になることは最初からわかっている。福田康夫首相は今回の勧告を政府が実施すべき最低限の内容ととらえ、分権委と省庁が対立している項目では自ら裁断すべきだろう。
産経新聞社説「地方分権委勧告、「ゼロ回答」もう許されず」は、次のように述べています。・・福田首相も役所の権益擁護に回りがちな閣僚を束ね、分権委を強く後押しする必要がある。