15日に閣僚による分権本部が開かれました。NHKニュースによると、次の通りです。
・・・福田総理大臣は「現時点での各省庁の対応は地方分権改革を推進する観点から不十分だといわざるをえない」と述べました。そのうえで、福田総理大臣は「国と地方の役割分担のあり方を見直し、権限などの移譲を進めることは、きわめて重要だ。改革の実をあげられるよう、各閣僚は政治家としての判断を明確に示し、地方分権改革に向け、しっかり取り組んでもらいたい」と指示しました・・・
カテゴリー別アーカイブ: 分権改革
地方行財政-分権改革
地方分権委員長の考え
12日の読売新聞に、丹羽宇一郎分権改革委員長のインタビューが、載っていました。5月下旬にも首相に出す第1次勧告に、「旧1級国道(58本)を除く直轄国道と、県内で完結する1級河川(53水系)の権限を、都道府県に移すことを盛り込む」と明言されたそうです。あわせて、それに関連する職員と財源も地方に移すとも述べておられます。各省の抵抗が激しいほど、やりがいがある。中途半端な改革にとどめたら、改悪になってしまうとも。是非、原文をお読みください。
イギリスの国地方関係
『地方自治』2008年4月号(ぎょうせい)に、務台俊介自治体国際化協会ロンドン事務所長の「英国の『国と地方の関係基本協定』とその示唆するもの」が載りました。これは、2007年12月に、自治大臣と地方自治体協議会(日本の地方6団体に相当)との間に結ばれた協定です。国と地方が対等の立場で協定を結ぶところが、興味あります。
ことの起こりは、2007年7月に政府が発表した、「英国の統治」という統治機構改革に関する白書(緑書)に、中央政府と自治体間の関係を規定する協定を策定することが、盛り込まれたことです。ブラウン政権は地方分権には熱心でないと考えられていたけれども、選挙を意識してこのような動きになったのではないかと、推測されています。分権のような統治機構改革は、官僚機構からは出てきません。詳しくは、務台論文をお読みください。また、「英国の統治」については、ロンドン事務所のHPを参照してください。
朝日新聞・分権後の参議院
24日の朝日新聞社説は、「参議院を地方の府にしよう」でした。「政府と国会を「地域主権」にふさわしい姿に」「憲法改正の論議は国のかたちをめぐってこそ」です。 私も、道州制導入後の参議院は、道州代表=ドイツ型参議院がよいと考えています。「普通の市民が議員、普通の市民が職員」月刊『地方財務』2008年1月号に、そう書きました。
社説の文中、「分権により、中央省庁が一手に握ってきた補助金の配分や公共事業の個所づけなどの権限は、基本的に地方へ移る。地方の要望を中央へつなぐ国会議員の「口利き」の余地もなくなる。」とあります。だからこそ、分権は進まないのです。この人たちが、現在の日本の政治権力を握っているからです。この社説のような理想主義を、どのように実現するか。その過程が問題なのです。そこに知恵と力が必要です。
経団連の道州制案
3月18日に、日本経団連が、「道州制の導入に向けた第2次提言」 中間とりまとめを発表しました。そこには、次のような内容と、道州制の導入に向けたロードマップが示されています。
・・国の役割について「選択と集中」を図り中央省庁を解体・再編する
道州制のもとで国が専管事項として果たすべき役割は、対外的分野、市場の機能円滑化・発揮のためのルール整備、最低限のセーフティネットの整備などに「選択と集中」を図り、国益を重視した政策の展開を機動的に行えるようにする。これに伴い、現在12 府省ある中央省庁を半数程度に解体・再編する。内政の多くの施策は、立案・実施とも道州および基礎自治体が主体となって担うことになる。そうした内政分野における国全体の基本戦略・計画や統一的な政策の方針・基準策定は、必要最低限のものとし、内閣府にそのとりまとめの機能を集約する。
・・日本経団連の試算では、道州制の導入を前提とすれば、、国の地方支分部局に勤務する職員(国家公務員)約21 万6千人のうち、6万8千人弱の職員について、都道府県や市町村に転籍し、同様の事務事業に従事することが可能であると考えられる。さらに地方公共団体において、事務事業の合理化を進めれば、国から転籍した職員および地方公共団体職員のうち3万4千人弱は定員削減が可能であり、労働市場を通じて民間企業に活躍の場を求めることになる。その結果、地方支分部局の職員は、道州制を導入する前の段階で約21 万6千人から約12 万1千人となる。人材の公的部門から民間部門へのシフトは、少子高齢化に伴う労働人口の減少への有力な対応策になろう。