昨日の続きです。小中学校での問題行動、例えば、いじめ、教師への暴力、学級崩壊、さらには不登校など。これらの問題に、誰が取り組み、だれが解決するかです。
かつては、このような問題は、本人が悪い子であり、親のしつけが悪い、と片付けられていたのでしょう。しかし、これだけ数が増えると、一個人、一家庭の問題とは、言っておられなくなります。学校での問題だから、教師が悪い、教師の責任だとも、言っておられないのです。
では、学校での問題行動は、どうしたら減らすことができるのでしょうか。それを、誰が取り組むのでしょうか。教育委員会と教師に任せていては、改善しないでしょう。原因は、学校現場だけにあるのではないのです。
そこには、原因として、社会の変化があると言わざるを得ません。そして、家庭や当事者だけでは解決できない問題であるということは、個人の問題・自己責任の問題から、社会の問題に変化したのです。
たとえば、交通事故死者は、政府や自治体、国民の長年の取り組みで、大幅に減らすことに成功しました。速度違反や飲酒運転の取り締まり、シートベルトなど事故を起こしても安全な車の開発、信号機・ガードレールなど施設の整備によってです(2010年1月3日の記事)。
私は、「新地方自治入門-行政の現在と未来」で、地域の財産を、自然環境、公共施設、制度資本、関係資本、文化資本に分けて説明しました(p190)。そして、公共施設や制度資本はお金と技術があればできるが、関係資本や文化資本は人間関係であり、それをつくるのは簡単ではないと述べました。児童生徒の問題行動の多発は、この分野に属します。
しかし、地方自治体が取り組まなければならない課題です。もちろん、市役所だけで解決できるものではありませんが、地域の人たちや組織を巻き込んで、対策を考えることができるのは、市町村です。
地方自治体の仕事は、このような地域住民の不安を解消することに、重点が移っています。「モノを増やすことから、関係の充実へ」。これが、私の主張です。