8月24日の朝日新聞に、「孤独・孤立の支援、寄り添う自治体」が載っていました。徐々に、孤立孤独対策の重要性と、その対策技法(これまでの行政手法と異なること)が理解されつつあります。
・・・孤独・孤立対策推進法は来年4月に施行される。背景には孤独・孤立が心身に有害な影響を与えることへの懸念がある。国は対策推進本部を設置し、対策の重点計画を作成する。
ただこれまでも市区町村は孤独・孤立対策を進めてきた。その現在地を知ることができるのが、地域福祉が専門の加山弾・東洋大学教授の論考だ。
論考によれば、近年の孤独・孤立支援の大きな転換点は2017年と20年の社会福祉法改正だった。「福祉サービスを必要とする地域住民の地域社会からの孤立」は解決すべき「地域生活課題」の一つと位置付けられた。具体的な施策としては、市区町村が任意で「重層的支援体制整備事業」を実施できるようになった。ワンストップの相談窓口の設置や、複数の機関による連携支援を可能にする、制度的・予算的な裏付けができたことから、加山さんは「近年では類例のない改革」だと評価した。
加山さんによれば、従来の福祉はいわば「タテ割り」。支援や給付を受けるためには、当事者が役所で申請する必要があるが、そうした支援だけでは、複雑で複合的な課題に対応することが難しくなっているという。「孤立している人は制度を利用できることを知らない、または支援を受けようとしない場合が多い」
加山さんが把握したある親子の事例では、不安定な就労や障害の疑い、家賃未払い、いじめなどの複数の課題を抱えながら孤立していた。こうしたケースへの対応で求められるのが「アウトリーチ」と「伴走型支援」だと加山さんは言う。
前者は当事者からの依頼を待たずに、支援者側から発見・接近して、ニーズを把握する。後者は就労や障害などの課題解決にとどまらず、当事者とつながりを持ち続けることを目的とする・・・