江戸時代の授業方法

国立公文書館の展示「江戸幕府最後の闘い」を見て、いろいろと勉強になったのですが、その一つに、江戸時代の授業方法があります。
江戸後期には、幕府の昌平坂学問所のほか、各藩の藩校や私塾がたくさんできます。そこでは、素読、講釈、会読の3つの方法で、教えたのだそうです。「図録」p12。
素読は、ご存じの通り、意味内容を教えず、ただ声を上げて丸暗記します。「しのたまわく・・・」でしょう。これは、7歳~15歳くらいの初学者が対象です。
次に、講釈に進みます。先生が生徒たちの前で、書物の中の1章、1節について内容を説明する一斉授業です。これは、日本の小中学校の古典的授業風景ですね。

興味深いのは、会読です。素読を終了した程度の学力を持つ者たちが集まって、ある書物について問題点を出したり、意見を出したりして集団研究をする、共同学習です。
会読には、テキストを読む会読と、講ずる輪講があります。輪講は、10人前後の生徒が1グループになり、一人が指定されていたテキストのか所を読み、講義します。そのあと、他の生徒から読み方や質問などが出され、講師はそれに答え、討論を行うのだそうです。今で言う、ゼミに当たりますね。
しかも、身分社会の江戸時代に、輪講では参加者の身分にとらわれず、平等な関係に立ちます。また、参加者が自発的に集会をするという、結社の性格を持っていました。自主ゼミです。この項続く。