イギリスの経済道州制

英国イングランドには、地域開発公社(Regional Development Agencies ;RDA)という広域単位の機関があるのだそうです。務台俊介自治体国際化協会ロンドン事務所長に、教えてもらいました。以下、その概要です。
・・RDAは、労働党のブレア政権が1999年に発足させた組織であり、法的には国から独立した機関とされていますが、国務大臣の監督下に置かれています。イングランドを9地域に分けて、9つあります。
イングランド各地の経済開発、地域全体のハード・ソフトにわたる社会基盤整備を目的としており、設立当時、政府をはじめとして多くの地域再生関連事業が移管されています。予算も関係省庁の地域再生関連補助金を一括して新たな補助制度を創設し、公社の裁量度合いが非常に高い資金となっています。
RDAを作った発想が、英国特にイングランドとしてEU統合の中で広域の地域を大括りした開発戦略を作っていかないと、国際競争に勝てないとの危機感があったとのことです。イングランドの従来の自治体単位で地域開発戦略を立てていくのは困難であり、かといって国がこれを一括して戦略を作っていくのでは大きすぎる。そこで、イングランドを9つの人工的な地域の括りに分割し、その単位でRDAを設置するに至ったとの説明でした。イメージからすると、日本の道州制の経済開発分野の機能が、RDAにあるようです・・
そうですね。私は道州制導入の目的の一つとして、地域経済の振興を主張しています。例えば九州が道州になって、国への依存が少なくなれば、東京ではなくアジアを向いて経済活動を行うだろう、ということです。九州は、オランダ並みの経済力を持っています。既に、観光ではその動きが始まっています。韓国をはじめアジアの観光客が、別府の温泉に入り、阿蘇と桜島を見て、ゴルフをして、買い物をして帰る。企業誘致や販路拡大だって、東京だけを見るのでなく、アジアを相手にすべきです。距離的に近く、これから拡大する市場なのです。経済戦略を立てる際に、県単位では小さいのです。道州制なら、それぞれの地域が、ヨーロッパの中くらいの国々と同じくらいの、人口、面積、経済力があるのです。イギリスが、そのような戦略をとっているとは、知りませんでした。