今日から、臨時国会が始まりました。総理の所信表明演説の最初は、「官から民へ」=郵政民営化と、「国から地方へ」=三位一体改革でした。重要課題を抱えることはありがたいことですが、それはそれで大変で・・。(10月12日)
13日の朝刊各紙は、昨日の国と地方との協議会を大きく伝えていました。「各省庁抵抗」「出口見えず」「調整難しく」などなど。当然、予想されたことです。各省が削減案を作れないから、地方団体に案の作成を依頼しました。各省はそれに抵抗するだけでは、調整は不可能です。その事務方の意を受けて大臣が発言すると、もうどうしようもありませんわ。
違う角度から解説していたのは、東京新聞です。
「補助金削減で仕事が消える」。地方団体案を「そのまま受け入れた場合、各省では、削減される補助金担当課はなくなるか、少なくとも今までのような数の職員は不要になる」。わかりやすいですね。各省はなぜ補助金死守で頑張るか。
また、「文部科学省は『義務教育費を全部持っていかれたら、A級官庁からD級官庁に落ちてしまう』との声も漏れる」ともあります。補助金額の多さで、各省のランクが決まると思っているとは・・。それだと、文部科学省でも、その他の局はD級の局と言うことですか。財務省や外務省もD級ですね。
官僚って、この程度の人たちだったのですか・・。同業者として情けないです。地方団体側が「こんな協議を続けても意味がない」と発言する気持ちもわかりますね。新聞各紙が冷静に分析しているのが救いです。
11日の毎日新聞は、「三位一体改革の現場」連載第2回「義務教育、財源より権限求める声も」を書いていました。もちろん、権限の委譲も重要です。でも、それは文部省がもっと手放さないでしょう。二兎を追ってはいけません。先ず財源を貰ってから、次に権限を貰いましょう。(10月13日)
関西学院大学が、「地方交付税発足50年、制度の持続可能性を問う」(10月12日~14日、新宿住友ビル)という講演会をしてくださいます。去年は、小生が出演して「交付税は破綻している」と発言し、物議をかもした会です。(9月28日)
14日の参議院本会議で、小泉総理は「関係閣僚に地方団体の改革案を受け止め積極的に取り組むように指示したが、その明確な指示を勘違いしている閣僚もいるので強くこれからも指示する」と答弁しました(日本経済新聞夕刊)。
総理はここまで明確です。各閣僚の、今後の言動を監視しましょう。(10月14日)
各紙が、昨日の総理発言を解説していました。また、夕刊では、文部大臣が「義務教育補助率削減は考えていない」と発言したことを伝えていました。(10月15日)
17日の日経新聞は、「三位一体改革新たな対立」「都道府県vs市町村」を書いていました。「人口など財政基盤の違いに応じて格差ができる。総じて都道府県が潤い、市町村は減収になるところが多い」とです。
困ったものですねえ、こんな間違った記事を書いて、誘導するのは。
財政基盤に応じて格差がでるのは、事実です。でも、人口は財政基盤ではなく、財政需要の方です。人口が多いほど費用がかかるのです。この点は不勉強。そして、「都道府県が潤い、市町村は減収になるところが多い」は間違いです。都道府県分の補助金廃止に応じて税源移譲を行い、市町村分の補助金廃止に応じて税源移譲を行います。
都会対田舎の地域間対立は生じても、県対市町村という対立は生じません。
さらに「補助金の配分を知事がする」という点は、全くの誤解です。国庫補助金がなくなって、それが県から市町村への補助金になるかのような言い方ですね。
税源移譲の意味がわかっていませんね。あるいは、知っていながら「ある目的のために誘導している」のか。
こうして対立をあおり、改革に抵抗する結果になるのです。というより、県対市町村の対立はないので、「対立を作り上げている」と言う方が正確です。7月7日の神野先生の解説を参照してください。
このような記事は、あたかも事実を報道しているかのようで、実は偏向しています。日経新聞は、三位一体改革に反対ではないと思うのですが。この記者だけが不勉強で、・・(9月17日の解説に続く)。(10月17日)
18日の朝日新聞は、「知事会・市長会が補助金廃止案主導」を解説していました。辻陽明編集委員の書かれる記事と解説は、いつもよく掘り下げてあります。
「これまで地方6団体は、自治省の別働隊とみられてきた。だが、昨年9月からは『国と闘う知事会』の姿勢を強め、総務省の主張とは必ずしも一致していない。総務省幹部は・・・とぼやいた」とかです。これは、「地方6団体の事務総長は自治省の出身」と書いていた、どこかの新聞とは大違いです。
毎日新聞は、「三位一体改革の現場から」連載3で、公共事業を取り上げていました。「省庁、削減案に猛反発。業界も危機感募らす」と。補助金が誰のために役立っているかが、よくわかる記事です。(10月18日)