カテゴリー別アーカイブ: 連載「公共を創る」

連載「公共を創る」目次4

「目次3」から続く。
全体の構成」「執筆の趣旨」「日誌のページへ」「目次」「目次2」『地方行政

第4章 政府の役割再考
2 社会と政府
(1)社会を支える民間
10月28日 97社会と政府ー保険に見る企業と政府の協働
11月11日 98社会と政府ーサービス提供、担い手は官か民か
11月18日 99社会と政府ー広がる企業の役割
11月25日 100社会と政府ー通念と生活の「ずれ」ー顕在化した不安
12月2日 101社会と政府ー家族と職場に見る「ずれ」の実像
12月9日 102社会と政府ー「新しい通念と仕組み」構築の方向性
12月16日 103社会と政府ー「通念」を変える─その方策と障害

2022年
(2)政府の社会への介入
1月13日 104社会と政府ーその理念的な推移
1月20日 105社会と政府ー産業政策と日本の発展
1月27日 106社会と政府ー産業政策の転機
2月3日 107社会と政府ー政府とコミュニティーの関係
2月10日 108社会と政府ー「国のかたち」の設定ー倫理
2月17日 109社会と政府ー倫理や慣習への介入
3月3日 110社会と政府ー社会意識の変化
3月10日 111社会と政府ー「世間の目」と学歴・職業観
3月17日 112社会と政府ー倫理や社会意識、議論する場は?
4月7日 113社会と政府ー生活への介入
4月14日 114社会と政府ー「生きていく力」を身に付けるには
4月21日 115社会と政府ー個人の自由への介入
5月12日 116社会と政府ー家族と個人の衝突
5月19日 117社会と政府ー国民・社会の政府に対する意識
5月26日 118社会と政府ー国民の政治参加と新自由主義的改革の実像
6月2日 119社会と政府ー「戦後民主主義」の罪
6月16日 120社会と政府ー政治への嫌悪感とゼロリスク信仰
6月23日 121社会と政府ー行政・官僚への不信ーその内実
7月7日 122社会と政府ー行政と官僚ー信頼回復への道筋
7月14日 123社会と政府ー政治参加の現状─主権者教育と地方自治
7月21日 124社会と政府ー社会参加の意識─諸外国との比較
8月4日 125社会と政府ー社会参加政策のあり方―スウェーデンとドイツ
8月18日 126社会と政府ー政治・社会参加を促す具体策
8月25日 127社会と政府ー政治・社会参加の重要性
9月1日 128社会と政府ー政治・社会参加で「つながり」を得る
9月8日 129社会と政府ー日本における政治・社会参加の現状考察
9月29日 130社会と政府ー求められる「構造的な改革」
目次5」へ。

連載「公共を創る」第96回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第96回「「孤独・孤立問題と近代憲法の限界」が、発行されました。

近代国家は弱者を発見して、その人たちを支援する仕組みをつくってきました。しかし、孤独・孤立問題や社会的包摂は、これまでの憲法が定めた自由権や社会権では対応できません。
自由権は、国家の干渉を否定する自由国家・消極国家の思想を基礎とする、国家に対する不作為請求権であるのに対して、社会権は、国家の関与を広く認める社会国家・積極国家の思想を前提として、国家の積極的な作為を請求する権利です。ところが、引きこもり、若者無業者、うつ病や自殺の増加といった孤独・孤立問題への支援は、この自由権と社会権という憲法の論理に収まらないのです。
この人たちは、国家に対して「××が不足しているので支援してほしい」とは主張しません。支援を必要としていると周囲の人は考えるのですが、その人たちへの支援は彼ら自身の国家への請求権によるものではありません。では、周囲の人たちの救済請求によるものなのか、それとも社会が守らなければならない「正義」のようなものがあるのでしょうか。

この200年の歴史を見ると、近代憲法は二つのことを忘れていたようです。
一つは、自立できない人たちです。市民革命は封建時代のさまざまな桎梏から、人を解き放とうとしました。自由と平等がその理念でした。そこで想定されたのは自立した個人でした。しかし現実には、経済的に自立できない人がいることを忘れていました。これについては社会権を発見し、社会保障制度を発明しました。もう一つ、近代憲法が忘れていたことがありました。それは、個人は独立して生きているのではなく、互いに助け合って生きていることです

これで「第4章政府の役割再考 1社会の課題の変化」を終え、次回第4章第4章2社会と政府」に入ります。

連載「公共を創る」第95回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第95回「「政府が家庭に入る」─公私二元論の変容」が、発行されました。

今号の前半は、行政が公私二元論に縛られていたことを、災害対策行政を例に説明します。
国や自治体の役割が公共施設復旧に絞られ、個人や企業の施設復旧、生活や営業の再開はそれぞれの責任とされたのです。また、避難所や仮設住宅での生活支援の水準が「最低限」のままで、通常の生活水準に達していないことも挙げることができます。

後半は、弱者支援の過程で、政府が家庭に入るようになったことを説明します。
「政府は家庭に入らない」という近代憲法の原則は、いくつも変更を受けました。生活保護、介護保険などです。個人の資産や能力を調べ、住まいの中に入ってきます。これらは、本人の同意の下に行われます。他方で、引きこもり支援はどう考え、どのようにしたらよいのでしょうか、家族は助けを求めていますが、本人は求めていないことが多いでしょう。
児童虐待や家庭内暴力の場合は、本人たちが介入を求めていなくても、被害者を救うために家庭に入ることが必要です。
社会的に自立できない人を支援する場合も、問題があります。「嫌だ」と言っている人に対し、「首に縄をつけて」社会に引き出すことはできません。生きていく力をつけることも、本人の意欲がないと、政府などが強制することはできません。

連載「公共を創る」執筆状況報告

恒例の、連載「公共を創る 新たな行政の役割」の執筆状況報告です。
紙面では「第4章政府の役割再考」の「1社会の変化」が続いていますが、これが10月21日で終わります。執筆の方は、「2社会と政府」に入りました。

そのうち「(1)社会を支える民間」の前半を書き上げ、右筆たちの厳しい指摘を反映して、編集長に提出しました。編集長に誌面の形にしてもらったら、3回分、10月28日号から11月18日号までになりました。

このように書くと、余裕があるように見えますが、10月中には、続きを数回分書き上げなければなりません。すでに着手はしているのですが。常に締めきりに追われる、自転車操業です。精神衛生上、よくありませんね。2か月分くらい貯金していると、もう少し余裕が出るのですが。

今回は、「社会を支える企業」「変わる企業の社会的役割」についてです。これまでに各章で書いた話もたくさんあり、それらを含めて整理しました。
社会の変化によって、これまでの教科書的説明が役に立たなくなっています。それを説明したいのです。

連載「公共を創る」第94回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第94回「社会の課題の変化―「個人救済」担い手と手法の変化」が、発行されました。

前回から、新しい弱者への支援の拡充を説明しています。
かつては個人の責任とされたリスクのいくつかが、国によって救うべきものに変わりました。すると、自己責任と控除との兼ね合いが、問題になります。

政府が困っている国民を救う際には、金銭的支援だけではありません。弱い労働者と強い企業と対等に交渉できる条件をつくったり、最低限の労働条件を定めることで労働者を守ったりします。自立のために、金銭支援でなく、自立を促すトランポリン型の支援をつくりました。男女共同参画や働き方改革は、社会の意識と仕組みを変えようとする試みです。