過労死、東アジアで深刻

5月25日の朝日新聞に、脇田滋・龍谷大名誉教授の「過労死、なぜ東アジアで深刻?」が載っていました。

・・・長時間労働や職場のストレスから命を落としたと認定されるケースが後を絶ちません。日本で長く問題になっている「過労死」は、英語の辞書でも「karoshi」と紹介されています。ただ、働き過ぎによる健康被害は日本だけの問題ではないようです。世界の労働問題に詳しい龍谷大の脇田滋名誉教授に聞きました。

――過労死はいつごろから問題となってきたのですか。
バブル経済へと向かう1970~80年代です。労災問題に取り組む医師たちが「過労死」と名付けたのが始まりです。
危機感をもった弁護士たちが連絡会を結成し、88年には全国初の「過労死110番」が実施され、海外でも「karoshi」と報道されました。

――過労死は日本だけの問題なのでしょうか。
そうではありません。世界保健機関などの調査によると、16年に長時間労働で死亡したとされる人は74万5千人に上り、00年から29%増加しました。韓国や中国といった東アジアではいずれも深刻で、儒教的な価値観も影響しているのではないかと考えます。

――どういうことでしょう。
勤勉さや組織への従順さが美徳とされ、厳しい競争社会であることが、長時間労働を助長する土壌になっています。
イタリアでは「有給休暇を放棄してはならない」と憲法に明記されています。ヨーロッパではバカンスを取るために働くという発想が強く、過労死を理解してもらうのに苦労しました・・・