川端美季著『風呂と愛国 「清潔な国民」はいかに生まれたか』(2024年、NHK出版新書)を読みました。
日本人は清潔で風呂好きだと言われます。では、いつ頃からそうなったのか。江戸時代に風呂屋・銭湯が広まったとのことですが、庶民はどの程度の回数で使っていたのでしょうか。本書を読んでも、明確な統計はないようです(私が見落としたかも)。
風呂を沸かすとなると、湯船と洗い場という施設、給水と加熱設備が必要です(東日本大震災の際も、避難者に風呂を提供することは難しかったです)。庶民の家にはなく、風呂屋に行くしかありません。しかし有料ですから、貧乏人がどの程度の頻度で利用したのでしょうか。また、銭湯が成り立つには一定規模の利用者が必要ですから、小さな集落ではどうしたのでしょうね。
明治以降は、本書に書かれているように、国策として清潔が教育され、公衆浴場も広げられます。
ところが、1942年(昭和17年)に沖縄県で調査したところ半年以上入浴していない児童がいるので、学校が風呂を作ったことが紹介されています。これを見ると、国民全員が多い頻度で入浴していたわけではなさそうです。